第14話

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2020/02/05 12:26
太陽が傾き、辺り一面オレンジ色に染められた夕暮れ時。
鬼殺隊の柱から癸にいたる全ての隊士が1つの屋敷に集合していた。
その姿は誰が見ても荘厳さで満ち満ちていた。
広い広い屋敷の庭には何千を軽く超えるであろう隊士が皆膝まづいていた。
その先には産屋敷耀哉が慈愛の眼差しで隊士達を眺めていた。
産屋敷耀哉はもう座ることすら弱々しく、そばに居る妻のあまねに寄りかかりながら座っていた。
かすれかすれの声で隊士達に言葉を送る。
耀哉「今宵…無惨がこの屋敷へ参る…。総力戦になるだろう…私はもちろん無事で済むとは思わない……この身を…投げ打つ覚悟だよ。跡継ぎは…遠くに避難させた産屋敷輝利哉に全てを任せる。」
隊士達は思った。
あぁ、これは遺言では無いのかと。
私達に愛を希望を鬼と戦うすべに与えてくだすったあのお方は今宵死にゆくのだと。
隊士達の胸は熱くなった。
初めて御館様の御姿を拝見した下級隊士まで、この方と共に果てようと心に決めた。
産屋敷は苦しそうに続ける
耀哉「鬼は、今宵…潰す…。もう鬼狩りなんて…後世に残しはしない…。今まで、鬼によって失ってしまった時間を、人生を、人々を…もう失いはしない…」
隊士達はおのおのに目を閉じた。
鬼によって失った家族が、友が、恋人が、仲間が、瞼の裏を通る。
もう、自分達のような悲しく辛く命を賭けて殺し合うような人を残さない。














耀哉「最期に…ここまで生き残り…私に着いてきてくれた…可愛い子供たち。本当に…ありがとう」
御館様の頬には一筋の涙が伝う。

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