第4話

第4節
152
2025/04/13 16:19 更新
乾 青宗
なぁ、なんでそんなに慣れた手つきなんだ?
深海 唄羽
…え?
深海 唄羽
あぁ…お母さんがよく転ぶからさ
手当てしてるうちに得意になったのかも、笑
乾 青宗
怪しい
深海 唄羽
何が笑
深海 唄羽
ほら、今日は帰った帰った
しっかり休みなさーい
背中を押されて無理矢理外に放り出された。
華奢に見えて、意外と力あんだな。こいつ。
すると、深海もドアの近くまで来た。
腕を庇っているような立ち方でぎこちない。
深海 唄羽
またね
深海 唄羽
乾君
まただ、またあの顔。
なぁ、深海。
深海は何を思って、何を感じているんだ?







俺の問には当然答えず、ドアの閉まる音だけが静かに響き渡る。






上手く誤魔化せた?ちょっと強引だったかな、笑
深海 唄羽
はぁーあ…優しくなんかしないでよ
こんな私なんかに。
私は、本当は生きてるべき人間じゃないんだよ。
優しくされるべき人間じゃないの。
必要ないって突き放されるべきなんだよ。
だからわざと口調強くしたり色々したのに。
なのに、どうして?



腕をギュッと握りしめる。
深海 唄羽
アンタが来なかったら私は――てたのに…
深海 唄羽
乾君、不良なんでしょ
何約束守るためだけに学校来てんの…
真面目かって…笑
それに、出会って2日目だよ。
そんな心配されるような、深い関係性じゃないでしょ。
だから私のことなんかほっといてよ。
…まぁ乾君は無駄に素直だし天然だし、しょうがないか。


…今日はもう、帰ろう。












深海 唄羽
…また来たの?ここ最近毎日来てるよね
深海 唄羽
私と話しててもつまらなくない?笑
乾君だって色々やることあるでしょ
乾 青宗
別に。来たくて来てるんだ
俺がそう言うと、深海は眉間にしわを寄せ
深海 唄羽
…乾君も変だよ
と一言。この前俺に『人のこと変呼ばわりするのは失礼だ』って言ったの忘れたのか。
乾 青宗
ふっ、そうか?
深海 唄羽
笑うとこじゃないよー
深海 唄羽
まぁいいや、今日も弾いてるから
乾 青宗
あぁ
~~~~~♪



あれから1週間が過ぎた。
大寿はあの圧倒的な力で、東京を徐々に制圧し
ココの金で特攻服を一新。まるで軍連隊のようだ。
二人の力で黒龍は息を吹き返すことが出来た。
…ただ、今の黒龍が俺の夢に見てきた黒龍の姿かと言われると違う気がする。
違う気はするが、今は目をつむろう。
大寿ボスに任せよう。

抗争、集会がないときはいつも音楽室ここに来てる。
家に帰っても暇なだけだし、ココも金を作るので忙しい。大寿ボスは…疲れる。音楽室ここが一番丁度いい。
深海 唄羽
あれから怪我、平気?
乾 青宗
もう痛むことはない。
跡は少し残ってるけどな
深海 唄羽
そっか、よかった
深海 唄羽
でもまた喧嘩してるんでしょ?
乾 青宗
え”、なんでそれが…
大寿ボスが総長になってから、今まで以上に喧嘩をふっかける事が増えた。
早く黒龍の名を広めたかったのもあるが、俺より大寿のが喧嘩っ早いってこともある。
敵チームの姿トップクが目に入るだけで殴りかかるから、大寿側近の兵隊はボロボロ。
俺とココも、流石に体力が削られつつある。
昨日も相手の総長に突然殴りかかって、全面戦争になった。
だから、あんまり関わりたくない。
ココには『イヌピーも同じようなもんだ』って言われるけど、俺は姿が目に入っただけで殴りかかったりはしない。
ガン飛ばしてきたらぶっ飛ばすだけ。
深海 唄羽
見てたら分かるよ
深海 唄羽
言ったでしょ、私は周りをよく見てるってね
そう言って少し微笑んだ。
前みたいな悲しい感じじゃなく、普通に。
乾 青宗
…すげぇ
深海 唄羽
でもちゃんと手当てしてるみたいで安心したよ
乾 青宗
まぁ、あん時あれだけ言われたらな
乾 青宗
言われたこと思い出しながらやったんだけど
乾 青宗
やっぱテーピングとか緩くてあんま固定されてる気ぃしねーんだ
深海 唄羽
自分でテーピングするのは慣れなきゃ難しいよね
深海 唄羽
腕貸して?巻き直すよ
乾 青宗
それじゃあ自分でやった意味ねぇだろ
深海 唄羽
私が居るときぐらい私を頼っていいんだよ?
乾 青宗
母親かテメェは
深海 唄羽
こんな美少年を産んだ覚えはないから違う
乾 青宗
そりゃどうも
深海 唄羽
あ、そうだ。屋上行く?
乾 青宗
屋上?
深海 唄羽
うん。私あそこ好きなんだ~だから、行こ?
乾 青宗
急にどういう風の吹き回しだ
深海 唄羽
たまには、よくない?
ピアノばっかで飽きたでしょ
ピアノばっか、っていうか俺がピアノを聞きたくてきてるんだけどな…
だけど別に断る理由もなかったから、一緒に屋上へ行くことにした。







深海 唄羽
んー…気持ち~
深海 唄羽
ここから見える景色好きなんだよね。
普通は屋上って立ち入り禁止じゃん?
深海 唄羽
だからなんかここだけの特別な景色って感じがしてさ
乾 青宗
へー
深海 唄羽
…話聞いてないでしょ
乾 青宗
え、いや聞いてる聞いてる
深海 唄羽
棒読みすぎ笑
風に揺られる長い髪は、夕日を反射し綺麗に輝いている。下を眺めると部活を終えて帰宅する本校の生徒がわんさかいた。
すると後ろからドアの開く音が聞こえた。
九井 一
やっぱりここに居たか、イヌピー
乾 青宗
ココ!?
深海 唄羽
ここ?
乾 青宗
あー…前に話した親友マブ
思い出せないのか深海はきょとんとした顔でこちらを見つめている。
乾 青宗
ほら、タロット占いの
深海 唄羽
…え、ココさん!?
九井 一
おいおい。俺を置いてきぼりにするな
九井 一
イヌピーこいつは誰なんだ?
九井 一
ていうかなんで俺、タロット占いって呼ばれてるんだ?
乾 青宗
ココ質問が多い。
まぁうん…よし、自己紹介をしよう
深海 唄羽
あ、こっちに丸投げした
乾 青宗
仲良くなるにはこれが手っ取り早いだろ
深海 唄羽
それもそうだけど…
深海 唄羽
えーと、深海唄羽です。
ココさんの話は乾君から聞いてます。
タロット占いが好きとか、意外と怖がりだとか…
九井 一
あぁ、深海ってあの…俺は九井一だ、こっちもイヌピーから話は聞いてた。なんか赤音さんに似てるとかなんとか…
いつもよりおどおどしている二人を見るのは、なんだか面白い。
深海 唄羽
乾君のお姉さんに似てるとは言われました。
九井 一
やっぱりな
乾 青宗
本当に似てるんだよ?
九井 一
別に疑ってはねェけど
乾 青宗
それで、なんかあったのか?
九井 一
あぁ。大寿からの招集だ
乾 青宗
?それなら携帯に連絡すれば
九井 一
何言ってんだ。お前電源の入れ方すら分かんねぇだろうが
深海 唄羽
そんなに重症なの…?
てか携帯持ってることすら始めて知った
九井 一
こいつは結構な機械音痴でな。大体は口頭で通達してるから、知らなくて当然だ
深海 唄羽
あーでもなんか分かるかも
深海 唄羽
タイピングとかも指一本じゃないと出来なそう
九井 一
分かるわー笑
二人で笑い合う姿はとても楽しそうだった。
ちょっと寂しい。まぁそんな事言ってらんないよな
乾 青宗
馬鹿にしてる
深海 唄羽
違う違う笑
九井 一
ただ心配なだけだ、な?
深海 唄羽
そうそう
乾 青宗
…お前ら打ち解けるの早くねぇか?
深海 唄羽
なんかはじめましての感じがしないっていうか…
深海 唄羽
大体は乾君に聞いてたし
九井 一
俺も
深海 唄羽
というか時間大丈夫?
ボス?に呼ばれてるんでしょ
乾 青宗
ああ、そうだな
深海 唄羽
帰る前に…ココくんメール交換しよ
乾君の愚痴にちょっと付き合ってほしくて
乾 青宗
丸聞こえだ
深海 唄羽
冗談だよ笑
九井 一
別にいいぞ
深海 唄羽
深海 唄羽
あ、きた
乾 青宗
九井 一
ぷはっ笑 なんだよ、この名前笑
深海 唄羽
やっぱりダサい?笑
こういうのってどうしたらいいか分からないんだよね笑
九井 一
まぁいいんじゃね?個性があってな笑
深海 唄羽
は?エリンギを笑うな?
クッソ旨いかんね笑
九井 一
独特すぎだわ笑
九井 一
んじゃ、そろそろ行くぞー…
?イヌピー?
深海 唄羽
ほっぺ膨らましてどうしたの?
乾 青宗
何でもない
なんだかむず痒い。
ココと会ったのも深海と会ったのも俺が最初なのに
九井 一
これは…面倒くさい事になったな、笑
深海 唄羽
もしかしてココくんを取られたと思ってる?
九井 一
あぁ、多分な
深海 唄羽
ふふっ、可愛いね。乾君笑
深海 唄羽
じゃあ、私も帰ろっかな
大分暗いし
深海 唄羽
何より二人の仲のお邪魔をするわけにもいかないしね笑
深海 唄羽
頑張って、ココくん
九井 一
深海を映すココの目は、赤音を見る目と同じように見えた。昔を思い出したのか少し潤んでいる。
深海 唄羽
またね乾君、ココくん
そんなココを片目に深海を見た。ドアに方へ歩く深海の背中は、とても小さく頼りなかった。
不安、恐怖とか、そういう負の感情を全て背負って縮こまってしまっているような。
ダメ、ここを逃したら…
乾 青宗
深海っ!
深海 唄羽
…え、ちょ!おわっ!
九井 一
深海?!イヌピー?!






今行かせてしまったら、一生戻ってこない気がした。
気がついたら腕を掴んでいた。
しかし勢いがありすぎて制御が効かなくなり、深海ごと押し倒してしまった。
九井 一
大丈夫か!
深海 唄羽
う、うん笑 ビックリはしたけど…
九井 一
イヌピーどうしたんだよ、急に
乾 青宗
一緒に…行こ!
深海 唄羽
え?
九井 一
は?




はい、切ります!
口調迷子ですね…すいません!
えー語彙力もなく、しかも時間を過ぎてしまうという大事件です。
少しでも早く投稿したいのでこの辺で

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