第19話

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2022/04/29 08:43

謙杜『家族に隠し事はなしやで』

そんなドラマみたいな言葉を発したのは今日が初めてだと思う



和也『実は…』


丈一郎『…和也っ…!』



丈くんの手に自分の手を重ねると首を横に振った



はぁ、本当、ドラマみたいだ












和也『──────────────────














本当、ドラマだったら良いのにな…(涙)





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駿佑『…』





遅いなぁ





話し込んでるのかもしれない





だったら僕は





その話の話題が





僕でないことだけを





願っている。











ガラガラ



大吾『ごめん遅くなって笑』


駿佑『全然!』



全然と言うのは全くの嘘


本当は1時間半待った


でも、これは僕にとって『待った』のうちに入らない


その話の内容が大切だから









丈一郎




丈一郎『そろそろご飯の時間やな』



看護師『よく分かりましたね笑持ってきましたよ』



突然現れた看護師さんに誰も表情を変えなかった






ほら、笑えよ


空気読まないと



駿佑『わっ!びっくりした笑』



笑えって



恭平『ありがとうございます笑』



あの恭平が空気読んでんで





「丈くん」







「丈くん」





和也「丈くん、ぼーっとしとるで」


丈一郎「あっ…うん、ごめん」





駿佑『なんかより一層健康的なご飯になった気する笑』


流星『そうかもな笑』











駿佑『明日も来てな!』


謙杜『来るに決まってるやん!』


丈一郎『また明日な、おやすみ』













ガチャッ






カチッ





バサッ






誰も喋らない部屋は

寂しさと悲しみ

それに混じって少しの怒り、

まるで僕達の心の中のようだった


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