昨日のビラの内容が頭に焼き付いて離れない。
出来ることなら、高瀬先生と一度だけでいいからデートっぽいことはしてみたい。
でも、そんなの無理だし、誘えないし。
それに、秘密の恋だから軽々しくみんなに相談できない。
それは分かっていても、心のどこかで一緒に過ごしたいという気持ちがある。
「高瀬先生〜!彼女いるんでしたっけ?」
「いませんよ。」
「え〜!高瀬先生と一緒にクリスマス過ごしたい〜!」
そんな会話が耳に飛び込んでくる。
聞き捨てならない。
「し、栞里?」
私がどんな顔をしていたのか、自分では分からないが、梨乃の反応からものすごい目力だったのではないかと考えられる。
「俺は教育実習生。みんなの彼氏になるために来たんじゃありません。」
そう言ってクラスの女子たちに笑いかける高瀬先生。
断ってくれたのは嬉しかったけど、自分が誘う前に答えを聞いたようで少し悔しい上に悲しい。
「栞里……誘ってみたら?」
梨乃はそう言った。
「えっ……?」
「栞里はあの子たちよりも関わってるでしょ?もうあと学校で会えるのも二日だよ?イブの日くらい、誘ってきたら?」
「でも……」
「もし断られたとしても、私が栞里を一人にはしないから大丈夫。」
梨乃はそう言って、私の背中を押してくれた。
゙私が栞里を一人にはしないから大丈夫 ゙
クラスの男子よりもカッコイイ梨乃に救われる。
「私、放課後誘ってみるね。頑張る。」
「うん。」
高瀬先生と秘密の時間を過ごせますように、と願う。
勇気を振り絞らなきゃ、恋愛は始まらないんだから。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!