興味があって、振り向こうと思ったけれど、その時は怖くて振り向けなかった。
次は坂でのこと。
かごめかごめ
かごのなかのとりは
てんじんさまのほそみちじゃ
僕は気になって、
〈振り向いて〉しまった。
後ろからはいつくもの手が。
その後のことは覚えていない。
一人で出かけていたから、話す人もいなかった。気がついたら目的の場所へ。
そう思った。あれから10年。
やっぱり本当にあったことなんだ。
10年間、霊力がある人達に避けられ続けたのだから。
「あの人」に会うまでは。
ーーさんは僕の後ろを指した。
僕には見えないが「後ろの正面」には
何かがいるらしい。
ーーさんは霊能者だ。霊と会話をして、
成仏してもらうらしい。
ーーさんは腕を組み直した。
大切なことを話すときのように。
僕は頷いた
さくっとわかんないって言った。
この人ちょっと怖いな。
そんなことより、取り憑かれる?
嫌すぎる。
僕はあなたの少年の「の」が要らないことも忘れて、固まってしまった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。