第26話

自分を呪う言葉
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2026/02/13 01:19 更新



祈莉が心の中で抱え込んでいるものは、日に日に大きくなり、



気づけばもう自分一人ではどうにもできないほど重くなっていた。



「大丈夫」と言い続けることで、周囲にも、自分にも嘘をつくことに慣れてしまった。



しかし、その嘘が祈莉を次第に追い詰め、壊れかけていることには気づけなかった。



心の中で何かが歪んでいく音が聞こえるような気がした。



もう、誰にも頼らずに一人で抱え込んでいくことが、祈莉にとって当たり前のようになりつつあった。



ある朝、祈莉はいつもより早く目を覚ましたが、体がだるく、起き上がるのも億劫だった。



鏡を見ても、顔色は悪く、目は重く腫れていた。



寝不足に加え、心の疲れが顔に出ているのがわかる。



でも、どうしても学校に行かなければならなかった。



何も言わずに、いつも通り、誰も気づかないように振る舞うために。



朝食もほとんど食べられず、学校へ行く準備をした。



荷物を肩にかけ、玄関を出る前に自分を鏡で見つめた。



「大丈夫、大丈夫。」そう呟いて、自分に言い聞かせるように。



学校では、いつも通り笑顔でみんなと会話していたが、内心ではどんどん孤立感が強まっていった。



友達の話す内容も、以前のように楽しめない。



どこかで、みんなが自分のことを気にしている、



心配しているように感じることが、逆にプレッシャーになっていた。



「また、大丈夫だよ。」



そう言いながら、心の中では「本当は違う」という思いが積み重なっていく。



笑顔を作ることがだんだん辛くなり、言葉を発するのも億劫になってきた。



夜、部屋に一人でいると、祈莉はその孤独にどうしようもなく押し潰されそうになった。



日中は何とか笑顔で過ごしているものの、夜はその全てを引きずって帰ってくる。



ベッドに横たわり、天井を見つめながら、深い息をつく。



「どうして、こんなに辛いんだろう。」祈莉は自分に問いかけた。



でも答えは出てこない。何もかもが分からない。



気づけば、あっきぃやぷりにぃともあまり話せていない。



昔みたいに、気軽に電話をかけたり、顔を見合わせて笑ったりすることがなくなっていた。



その夜、ふと電話をかけたくなった。



でも、また「大丈夫?」と心配されるのが嫌だった。



だから、結局かけることはできなかった。



「だって、また心配させるだけだもん…。」



祈莉は自分の気持ちを押し殺して、眠ることにした。



その時、涙が一粒、静かに頬を伝ったが、それを拭うこともなく眠りについた。



少しずつ感情が抑えきれなくなる



日々が過ぎるにつれて、祈莉の感情はだんだんと抑えきれなくなりつつあった。



学校では、みんなと一緒にいることが当たり前になっていたけれど、



ふとした瞬間にその「普通」がどうしようもなく重く感じるようになっていた。



ある日、廊下を歩いていると、友達が話しかけてきた。



「祈莉、最近ほんと元気ないよね。どうしたの?」



その問いかけに、祈莉は無意識に立ち止まり、少し息を飲んだ。



いつもなら「大丈夫だよ」と返すはずなのに、今日はその言葉が出てこなかった。



「私、何が大丈夫なのかな…。」



その時、祈莉は本音を漏らしてしまいそうになった。



自分でも驚くほど、心の中の堰が崩れかけていた。



「祈莉…?」友達が心配そうに呼んだが、祈莉はすぐに顔を上げ、笑顔を作り直した。



「ううん、なんでもない。大丈夫。」その言葉を必死に絞り出し、強引に笑顔を作った。



でも、その時、彼女はその笑顔がどうしようもなく空虚であることを感じていた。



それでも、これ以上誰かに心配されたくなくて、再び「大丈夫」と言い続けた。



壊れる寸前の心



夜、再び一人になると、あの「大丈夫」が胸の中で重くのしかかってきた。



寝室の壁に寄りかかり、膝を抱えた祈莉は、思わず声を上げたくなるほど苦しかった。



自分の気持ちがどんどん堆積していく一方で、誰にもその重さを伝えることができない。



「どうして、私はこんなに頑張ってるんだろう?」



祈莉は泣きながらつぶやいた。涙が止まらない。



心の中に溜め込んだものが、とうとう崩れ落ちていくのを感じた。



「本当は、みんなに頼りたい。」



でも、そんなこと言えない。



みんなには、自分が「大丈夫」でなければならないというプレッシャーがあった。



あっきぃやぷりにぃにも、心配をかけたくないと思っていた。



だから、どんなに辛くても、どんなに自分が壊れそうでも、言葉には出さなかった。



その夜、祈莉は再び眠ることなく一人で涙を流していた。



心の中の闇が、徐々に深くなっていく。



今まで「大丈夫」と言い続けていた自分が、少しずつ崩れていくのを感じていた。



祈莉が「大丈夫」と言い続けることは、もはや彼女自身の心を支えるための嘘だった。



しかし、その嘘が大きくなり、ついには彼女の心の中で自分を壊す原因になってしまっていた。



外側では変わらないように振る舞い、みんなに「大丈夫」と言い続ける祈莉。



しかし、心の中ではその言葉が自分を追い詰め、壊していく。



そのことに気づかぬまま、祈莉は日々を過ごしていく。



しかし、彼女の心が完全に崩れる日は、もうすぐそこまで来ていた。




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