ゆっくり歩く道。
朝の空は青くて、爽やかで。
風も柔らかくて心地いい。
隣にはローレン。
何気ない会話が続いて。
何気ない時間が流れて。
………なのに。
どうしても、頭から離れないことがあった。
私のことを、ローレンに。
気づけば声をかけていた。
ローレンは軽く振り向く。
自分でも、変なこと聞いたなって思う。
いきなりタイムスリップの話なんて。
一瞬の沈黙。
あっさり否定される。
少しだけ苦笑した。
少なくとも今私は、
タイムスリップして良かったと思ってる。
こうしてローレンに会えたし。
足が少しだけもつれた。
ローレンがふいに言う。
とっさにそう答える。
声が震えてしまった気がした。
ローレンはじっとこちらを見てくる。
心臓が早くなる。
ローレンの視線が、
全部を見透かしている気がして。
でも、ここは誤魔化しのチャンスなのでは…
ふぅっと安堵のため息をつく。
ローレンは納得したのか、諦めたのか
それ以上聞いてこなかった。
それが逆に苦しくなる。
隠し事をしていて、
騙しているような感じだったから。
いつか、この人に────
慌ててローレンを追いかける。
────もし、本当のこと話したら。
この人はどうするんだろう。
信じるのかな?
それとも、笑って流すのかな?
でも、今は怖くて話せない。
この関係を壊したくなかったから。
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!