物音で目が覚めた。
微かに聞こえてくる衣擦れの音、水音。そして……少し掠れた喘ぎ声。
ぼんやりとした意識が一瞬にして覚醒する。
視界に映ったのはひどく扇情的な彼女だった。
シーツに広がる黒髪と、月の光が照らす白い肌とのコントラストがやけに綺麗で、私は息をすることも忘れて見入っていた。
彼女は私が目覚めたことには気付かずに、荒い呼吸の合間に上擦った声を上げる。私の名前を呼んだ直後、彼女の体が強ばりすぐにベッドにぐったりと沈む。
私は彼女の耳にそっと口を寄せて呟いた。
肩を跳ね上げて驚いて、一瞬で顔を真っ赤に染める。恐る恐る私の方を振り向いてきゅっと下唇を噛んだ。
分かりやすく取り乱す彼女が可愛くて、自然と笑みが零れてしまう。そんな反応されたらもっと意地悪したくなる。
中途半端にかかった毛布を手繰り寄せる手を彼女の顔の横に縫いつけて、首元に一つキスを落とした。項から色濃く彼女の香りが漂って、ずくずくと下腹部が疼く。見下ろした彼女の瞳は真っ直ぐに私を捉え、暫く動くことも忘れていた。
固まった私を不思議に思ったのか彼女は小さく呟いた。私は彼女の目の下にある黒子を指でなぞり、そっと口づけた。
そして柔らかな唇に自分のを何度も押しつけた。呼吸をするために一瞬だけ開いた唇を割って舌を侵入させる。時折漏れ出る彼女の呼吸と小さな喘ぎに頭がクラクラする。苦しくなったのか彼女が私の肩を叩くので、私は彼女の鎖骨へと唇を移動させた。
彼女の真っ白な肌に赤い痕が散らばって、それが彼女は自分のものだという証明のような気がして嬉しくなった。
彼女の引き締まったお腹に指を這わせながら言うとヒクリと震えた。そのまま太ももを何度か往復して、潤ったそこに触れた。あっ、と声を震わせてすぐに口を手で覆ってしまう。
ああ、もったいない。恥ずかしがって赤く染めた顔も、切なく喘ぐ声も、もっともっと見たいし聞きたいのに。
私は彼女の手を取って手のひらに口づける。そして指を絡ませて握り、彼女に微笑みかける。
黒い瞳が揺れて、繋いでいる手がきゅっときつくなった。私は止めていた手を再び動かし刺激を与える。彼女の蜜で蕩けたそこは、すんなりと私の指を受け入れて奥まで導いた。それと同時に胸の先端も舌で愛撫すれば、更に蕩けて指を締め付ける。
彼女の声が徐々に切羽詰まったものに変化して、終わりが近いことを知らせた。彼女はきつく握っていた手を解くと、私の首に腕を絡ませた。
私も、という言葉は喉に引っかかったみたいに出なかった。その代わりに何度もキスをして、私の思いが全部伝われば良いのにと願った。いつからこんなに好きになっていたんだろう。彼女を愛せるこの時間がものすごく幸せで夢みたいだと思った。
彼女は全てを包み込むような優しい笑顔を浮かべて、その後すぐに体を大きく震わせて果てた。暫く乱れた呼吸を整えて、私は彼女の髪を撫でていた。
そうしているうちにだんだん瞼が重くなってきて、最後にもう一度キスをした。
彼女の優しい声と暖かい手のひらが私の手を握ったのを感じて、私は意識を手放した。
fin.














編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!