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第1話

特別【ウンヘズ】
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2022/01/17 08:21 更新
彼女は距離感がおかしい。
手を繋いだり抱き合ったり、そんなのは日常茶飯事。
正直嫉妬していないと言えば嘘になる。
……それでも私は彼女が好きなのだ。



へウォン
へウォン
オンニ、好きです。




だって私以外にこんなこと言わないから。
一瞬、私をじっと見つめる彼女の瞳に吸い込まれそうな感覚を覚えた。
私をそっと抱き寄せて、壊れ物を扱うみたいに頭を撫でる。
自分の心臓の音が部屋中に響いているような気がして、彼女にまで聞こえているのではないかと不安になる。
でもただこうして抱き合っているだけの時間が好きだったりする。



ウンビ
ウンビ
…ヘウォナ、好き。




つい零れ落ちた私の言葉に静かに微笑んだ気配がした。それから彼女は私に何度も優しいキスを落として、気がつけばベッドに沈んでいた。
私を見下ろした彼女が口の端を持ち上げて、もう一度優しくキスをした。



へウォン
へウォン
そんな顔してたら襲われちゃいますよ?




まるで獲物を見つけた狼のように一瞬で表情を変える。鋭い瞳から逃れることなんてできなくて、私はただその瞳の美しさに息を飲むばかり。
私はこの瞬間をどうしたって嫌いにはなれないのだ。
彼女になら襲われたって構わない。そう思ってしまう私は、彼女を相当愛している。そして彼女もまた、私を愛していると確信できる。
ぼんやりとした意識の中、力の抜けた腕を持ち上げて彼女の顔を引き寄せる。
一瞬だけ触れた唇が離れた後、すぐにまた重ねられた。
彼女は他の人にこんなことはしない。









“私だけ”に与えられた特別な時間。










fin.

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