第9話

8話
64
2024/04/09 06:28


 
スグリくんへの愛情も行為もとうに薄れ消えて


行き、最早私は、自分の感情でさえも捨てて


しまった。




きっともう戻ってくることは無いだろう




けれどスグリ君は、私が居さえすればそれで良い


様で、私の様子が変わっても、特に何も


言わなかった。




ある日、この生活が一変した。







コンコンコンッ、






誰かが扉をノックする。




いつもなら誰か来ても、私しか部屋にいないから


出られない。




暫くすれば諦めて違う時に来る。




今回もそうだろう。



そう思った。




だけど、扉の先から聞こえた声に、私ははっと


した。


ーーー
 スグリー? 
カキツバタ
 居るのかー? 
 入るぞー!




その声の主………カキツバタは不遠慮にガチャリと


扉を開ける。




そしてベッドに縛り付けられた私を見るなり


ぎょっとした様な、驚いたような顔をして、慌てて


駆け寄る。



カキツバタ
 オイオイキョーダイ、どーしたんだよ、 
 コレ…?
カキツバタ
 待ってろ、今取ってやるからなぁ、 

あなた
 …っ…! 



その大きい体で近付かれたことで、首を絞められた


事がフラッシュバックする。




それに、手錠を取られたら…もしカキツバタと一緒


に居ることが彼にバレたら、きっとまた…


あなた
 いい…、良いです、 
あなた
 私は、…大丈夫…だから…、、 

カキツバタ
 …こんなブルブル震えて、大丈夫なわけ 
 あるかよぃ…
カキツバタ
 ………スグリがやったのか? 



何も言わず、こくんと頷く。



カキツバタ
 そうか…、 
カキツバタ
 …辛かったな、 
カキツバタ
 俺がキョーダイを助けてやるよ 



カキツバタは、未だ無いくらいに、…



…それこそ、スグリくんでさえもしてくれなかった


位に、暖かく抱き締めてくれた。


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