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第10話

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81
2024/04/09 06:28



カキツバタは、私のことを優しく抱き締めた。




片方の手は腰に回し、片方の手で頭をなでて


くれた。




大きくて、少しゴツゴツしてたけど、とっても、


温かい手だった。




気付けば私の手錠は外されていて、スグリ君に


バレた時の事よりも、眼の前の安心に縋りたくて、


カキツバタのその大きな背中に腕を回し、


私も目一杯に抱き締めた。



カキツバタ
 キョーダイ、俺と一緒に来るか? 
あなた
 え…? 



優しく微笑んで私に問い掛けるカキツバタ。



私はどういう事か分からず聞き返した。


カキツバタ
 今はまだ無理だけど、準備が
 出来たら必ず… 
 必ずキョーダイとオイラでこの学園を出て 
 行こう
カキツバタ
 その時までは、オイラの部屋で匿って 
 やるからよ!
あなた
 ……でも、、 



にぱりと明るい笑みを見せるカキツバタ。



しかし私には懸念があった。



…スグリ君が居る。



彼は…私は、彼が怖い。


カキツバタ
 …スグリのことならオイラに任せと 
 けって。
 きっとなんとかしてやる。
カキツバタ
 どうする?
 オイラと来るか? 













▷ 行く



▷ 行かない




























▶ 行く
   ̄ ̄


▷ 行かない





あなた
 私、カキツバタ先輩に付いていきます 



カキツバタはニヤリと笑った。




そしてぽんぽん、と私の頭を撫でると、


〝じゃあ行くかぁ!〟と笑顔で言った。





もう、何もいらない。



ポケモンも、バトルも、友達も、なにもかも。


























私はこの人さえいれば居れば良いと思った。

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