コンコン。控えめなノックが病室に響く。
そういえばきゅーちゃんにはノックなんて概念無かったなと、くだらない事を考える。
もう一度、少し大きめに鳴ったノックに、我に返り慌てて返事をした。
記憶に無い声だったが、名前を知っている事から『メメントリ』のメンバーだろうと判断した。
案の定、微かに見覚えがある人が入ってくる。
挨拶をしてから、言葉に詰まる。
相手は僕が言葉に詰まった理由に、気づいたようだった。
うたくんは、(まともで)すごく良い人そうだ。
今まで押し殺していた不安が、堪えきれずに溢れた。
作り笑顔が崩れただけだと思っていたが、いつの間にか涙がポロポロ溢れていたらしい。
うたくんが慌てて後ろに回り、背中を擦ってくれる。
誤解させては申し訳ないので、ちゃんと言葉にした。
うたくんは大分憤っているようだ。
うたくんはニコォと腹黒い笑みを浮かべた。
うたくんはぽかんとしたあと腑抜けたように唸った。
うたくんは、少し淋しそうに病室を出ていった。
早く思い出さないと、皆が悲しそうなままだ。
一人でも記憶を取り戻す努力をしなくては。
新品のゲーム機には触れず、無い記憶を辿る事にした。
















編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。