リシュール「カンバヤシはね…異世界人なんだよ」
「はあ!?」「はい?」
トーハ「待て、待てリシュール。お前異世界人と言ったか?コウタが?簡単に信じれるわけなかろう、こんな子供なんだぞ!?」
トーハ王子が机に身を乗り出してリシュール王子に食ってかかる。
……まあ信じられないわなぁ、そんな簡単には。
それもさっきまで親しげに話してた俺についてなんだから尚更よな。俺もさっきまで話してた人間が異世界人だったらクソ上司の事を敬える位には動揺すると思うわ。
ドルフ「恐れながらリシュール王子殿下。コウタ様が異世界人だというその証明になる物はあるのですか?一様にそう言われましても此方としては信じられないのです」
ちら、とドルフさんが俺の事を見て言う。
リシュール「証明になる物、ねぇ…。特には無いけど」
トーハ「はぁぁあ!?無いのに決めつけたって事か!?コウタが迷惑被ってるだろ絶対それ!」
上林『え、っと…』
ぎゅっと俺の事を抱き締めてくるもんだからトーハ王子のサラサラの金髪が頬にあたってくすぐったい。それでも【王子】という存在に抱き締められるのは俺の人生の中で異例であって。現実逃避をする為に俺は金髪は遺伝かな、なんて考えていた。
リシュール「まあ聞きなよ。私は証明になる物を持っていない…でもカンバヤシは持ってる。違う?」
上林『ああ、俺!?』
俺…持ってたっけ?ノーパソ一式、というか鞄は扉の前に置いてきてしまったし。服装も転生特典的な感じで変わっているから無理。
おっとぉ……??
上林『俺、扉の前に色々置いてきたから何も持って無い…』
リシュール「おや、そうか……残念だな」
トーハ「ほっらぁ!無いじゃないか!」
それ見た事か、とトーハ王子はリシュール王子に言う。でもリシュール王子はそこまで焦っては無さそうだ。
上林『と、いうか俺が認めれば俺は異世界人決定なのでは??』
リシュール「でもほら、トーハ達は証拠が欲しいらしいから」
フィール「リシュール様、カンバヤシは私が連れてきたので、私が提言してもよろしいでしょうか」
リシュール「いいよ」
そういやフィールの使ってた転移魔法ってなんの属性魔法の応用なんだろ。今度聞いてみよ。
トーハ「……ドルフ。気配がうるさい」
ドルフ「……申し訳ございません」
ドルフさんはフィールが話し始めた時から嫌悪をオーラで表現している。とっても背中が痛い。
フィール「まず、私が声を掛けた時カンバヤシは本来立ち入り禁止区域に指定されている場所にいました」
トーハ「それは問題なのでは?」
上林『知らなかったんだもん……』
俺を抱き締めたままの王子が訝しげに俺を見る。
フィール「この国の住人で有るならば誰もが分かっている筈の禁止行動をカンバヤシはしていました。立ち入り禁止区域近くで起こっている犯罪の関係者である事も考えましたが、もしそうであれば顕著な行動はしないだろうと思い、一旦判断をリシュール様にして頂くためカンバヤシを此処に連れてきました」
そういやそんな経緯だったわ。内容濃すぎて忘れてた。
リシュール「カンバヤシ、と名乗られそれがファミリーネームだと知った時は驚いたよ。ファミリーネームは貴族しか持たない。それに…マクファーレンにカンバヤシと言う一族は、居ないんだから」
それに言葉遣いも貴族のものとは思えないだろう?、と続けた金髪長髪王子。一言余計ですけど!?
ドルフ「そういえば私にはコウタ様は「コウタ」としか名乗られませんでした。それは何故なのですか?」
上林『へっ!?え、えっと…リシュール王子がカンバヤシって名前の貴族はいないって言ってたので…此処って王宮じゃないですか。身分の高い人達が集まってそうだし、もし会って面倒な詮索とかされたら困るので』
ドルフ「なるほど…でもリシュール王子殿下やフィール上級騎士はコウタ様の事を「カンバヤシ」とお呼びですよね」
上林『最初に言ったのがそれなので変えようがなかったのでは?』
と、ドルフさんと会話しているとリシュール王子とフィールは顔を見合せて
リシュール「君が都合が悪いのであれば呼び方を変えようか」
フィール「はい」
呼び名を変えることを決定した。
リシュール「トーハ、君はこのコウタの語り口を聞いても異世界人だって認めない?」
トーハ「いや……コウタの話は納得した」
リシュール「ならばコウタはマクファーレン公認の異世界人って事だ!」
おっふ話が飛躍した。え?元々俺が異世界人だって信じられないから証明しようの会だったよな。え?なんで公認までいっちゃってんの??
上林『もうなにこのひとたち』
疲弊仕切った俺は虚無って表情を無に変えた。
あかん顔を見たのかトーハ王子とドルフさんがよしよしと頭を撫でる。
あ、撫でるの上手いなこの人たち……っってちッがーう!!!!
イエス 異世界人 ノータッチ!!!!!












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。