これの続編になります。ご覧になっていない方は、1度読んでからがオススメです。
1週間前、私は彼に出会った。
突如として私の部屋に現れ、そこから6日間彼と同居した。
ロスサントスという架空の街から来た彼は、透明になって消えていった。どうやらロスサントスでの肉体と、この世界の肉体で分かれており、向こうの肉体が意識を取り戻して帰るべき場所へ戻ることになったのだ。
最初はこんな非現実なこと有り得るのかと疑った。
でも、私は彼を信じた。きっかけは思い出せないけど、信じようと思った。そして彼もまた、私を信じてくれた。
そして、また会おうと約束したのだ。彼、ダーマーさんと。
いつか会えるといいな、なんて想いを馳せていた。きっと実現しないって、頭の隅では分かっていたけれど、それでも会えることを夢みていた。
ダーマーさんが帰った次の日、──私はトラックに轢かれて死んだ。
死というのはこんなにも前触れもなく、降りかかるものなのだと痛感した。今更痛感したところで、この経験を活かす場面もないのだが…
意識が飛んでそれからは、ずっと寝てるみたいな感覚になっていた。
瞼の裏で視界が揺れる。真っ暗闇に、ゆっくり光が差し込む。
朦朧としたまま目を開けると、会いたかった人がそこにいた。
私はソファーの上に寝そべっていた。
足元には彼が座っている。もしかして、夢だろうか。
目の先にいる彼は、満更でもない顔でやれやれといっている。
横になったままでの会話が小恥ずかしくなって、急いで体を起こした。本当に夢じゃないのか。たしかに隣にダーマーさんがいる。それが、ただただ嬉しい。
隣にいるダーマーさんと顔を向き合う。何か言いたげな面持ちでこちらを見ている。
運良くダーマーさんに会えたはいいが、今後はどうしようか。
頭を傾げていると、ダーマーさんに顎を掴まれ上げられた。
あの時と逆の立場。でも私の場合は期限がない。だって向こうの世界で死んでしまっているから。本当にずっとここに居れてしまうから。
はぁ…と頭に手を付けさせてしまった。何か問題だったろうか。
そう言うとダーマーさんは、私とは反対側に手を伸ばした。彼の体で隠れていた何かが、徐々に姿を現す。
彼の手に、黒い物ががっしりと掴まれていた。
恐る恐る聞いてみた。
でも答えは分かっている。アニメや漫画、ドラマで見たことがあるそれだったから。でも違うのが、これは偽物じゃなくて本物の銃だということだ。
ダーマーさんは、なんの躊躇いもなく言った。
いっそ、その清々しさに少しずつ落ち着ついていく。でも無理やり落ち着かせたと言ってもいいだろう。
──殺人鬼。
ダーマーさんの言う通り、私の思っていたダーマーさんとは違ったのかもしれない。優しい彼が殺人鬼なんて、考えてもみなかった。
だけど、何かを思う前に私は、隣にいるダーマーさんを抱きしめていた。
ダーマーさんが言っていることは本当だ。絶対に。こんな時に嘘をつく人ではない。だから、信じざるおえない。
だから、全て受け止めてみようと思う。
この世界に落ちたのなら、溶け込んで、染まって、この街の生き方に従え。
そう思ったのはダーマーさんのおかげだ。きっと彼が支えてくれるから。そう信じる。
私はゆっくりとダーマーさんの体から離れた。
一瞬無言になった。それから彼が言った。
ダーマーさんはまだ笑いをこぼしている。そんなにおかしいことを言っただろうか。でも、ダーマーさんの笑う顔を見れて良かったとも思う。
お互い顔を見合せて笑い合う。ダーマーさんの笑い方はなんだが上品だ。それでダンディーだ。
初めての街を探索なんて、なんだがわくわくする。でもきっと危険な街だ。
ダーマーさんが立ち上がり、私に手を差し出した。私は手を取り立ち上がる。
そんな冗談もダーマーさんがいるから微笑める。なんだか今日は笑顔が多い日だ。これからも、そうであって欲しいと思う。
もしこの街の運命力に引かれて、私がここへ来たのなら、私の物語はこれからだ。
だから、しばらくお世話になりますダーマーさん。
目覚めたら元同居人に遭遇しました【van】
Episode.1【Day1】続
こんばんは、さささ塔です。
なんと続きました。続編出ました。ここまで読んでくださっている方々ありがとうございます。またゆっくり更新して行こうと思います。
追加で前作の文などを改善してたりするので、良ければ見直しとして見てくださると嬉しいです!













編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。