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第3話

Episode.3【Day1】続
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2026/02/25 16:01 更新


──最近この街に来たばかりで、ダーマーさんに案内してもらっているところです。

そう彼女に言われて、僕はつい笑ってしまった。
なぜって、あのダーマーさんが新規住人を連れて、街の案内をするなんてことがあるのかと、驚きを越して面白いが込み上げてきたからだ。

ダーマーさんとは、そこそこ古い付き合いの僕だから分かる。彼は、安易に人と関わらず、特徴のない人材は目にも入れない人だ。
だから、特徴のない彼女となぜ一緒に行動しているのか疑問だった。
予想だが、僕の考えが違うというより彼女の存在が異例なのだろう。
ヘラシギ
あなたの下の名前ちゃんやっけ、あの子気になるなぁ

もしかすれば、ダーマーさんはあなたの下の名前ちゃんに脅されているだとか、弱みを握られているだとか、そんなことも考えられる。
しかし、こうしっくりこない。そう考える以前に、それは有り得るのか?と疑問に思う。
この違和感はきっと、彼女がただの一般人にしか見えないことにあると思った。
ヘラシギ
(僕から見ればあなたの下の名前ちゃんはダーマーさんに惚れている…)

もしくは、お互いを想い想っている。
ヘラシギ
色々膨らませてくれるなぁ

いつから、どうして、理由は──?
???
──シギが考え事なんて珍しいな
ヘラシギ
ごめんごめん。でも悪いことちゃうから、
心配かけてごめんな

やれやれと、なぜか呆れ顔で返された。ほんまアキは心配症やなあ。
ヘラシギ
(とりあえず、様子見ってとこやな)
 
チリンと来客の知らせが届き、一度考え事をシャットダウンさせた。まずは目の前のお客さんのことに集中することにしよう。















ウェスカー
──私はウェスカーだ。″ アンブレラのボス ″ をやっている


頭の中をぐちゃぐちゃにされた気分だった。
そういうのは、隠さなくていいのかと心配にもなった。だがウェスカーさんは、私を真剣に見据えた。
ヴァンダーマー
ウェス…全く貴方は…

固まって動かない私の隣で、ダーマーさんがため息をつく。
ヴァンダーマー
ウェス、何が目的なのか分からないが、この子をからかわないでくれないか
ウェスカー
からかっているつもりはない。ただ自己紹介しただけだ

二人の会話を聞き流す。
数秒が経ち、ようやく冷静になってきた。目の前にはボスを名乗るウェスカーさんが、私から目を逸らさず見ていた。
どうしてそんなに私を見ているのだろう。自己紹介をしてもなお、ウェスカーさんの警戒心は解かれない。
それもそうか。急にダーマーさんの隣に現れた女を、怪しいと思っているに違いない。
あなた
…えっと…ウェスカーさん、よろしくお願いします
ウェスカー
よろしく

自己紹介に返事を返さないと失礼かと思い、威圧感でつっかかる言葉を何とか吐き出した。
ヴァンダーマー
それでウェス。私に何の用だ

ダーマーは少し不貞腐れた様子で、ウェスカーに尋ねた。
ウェスカー
いや、そうだな。
ヴァンさん体調大丈夫そうだし、用はなくなった。だが、その娘を借りるぞ
あなた
?…え
ヴァンダーマー
ウェスカー、それは聞けない願いだ

突然視界が遮られる。何かと思えばダーマーさんが、私とウェスカーさんの間に割って入ったのだ。
ヴァンダーマー
そうではなく、違うことを私に言いに来たんじゃないのか?
ウェスカー
いいや?ヴァンさんの体調を見に来ただけ。電話で話していた通り元気そうで安心したし

ダーマーさんを挟んで聞いているせいか、声が籠って聞こえる。

──だけど

ウェスカーさんは続けて言った。
ウェスカー
どうやってこの子とヴァンさんが仲良くしているのかが疑問でね。
ヴァンさん、どうしてだ?
ヴァンダーマー
そんなことを私に聞くなら、こちらも言わせてもらおう。
どうしてそんなことを聞く?この子はただの知り合いだ
ウェスカー
知り合いねぇ…?じゃあヴァンさん。貴方が5日間眠っている間にどう彼女と知り合う。
私はね引っかかっているんだよ。古い付き合いだからこそ分かる。
貴方が起きた瞬間から変化していることに

体が反射的に身構えた。だってその答えは、私とダーマーさんしか知らない、あの5日間が関係しているから。
しかし、私はダーマーさんの何が変わったか分からない。きっと私より、ずっとダーマーさんを見てきた人が感じ取れる変化なのだろう。

実に、付き合いというのは恐ろしい。長ければ長いほど、相手の変化や与えられた影響をすぐに違和感として感じさせる。
ヴァンダーマー
簡単だ。私が倒れる前にあなたの下の名前と知り合っていたからだ

ウェスカーは「へぇ〜」と余裕ありげに反応した。
ウェスカー
ヴァンさんがそこまで粘ってくるならいいや。元々の目的は達成したし私は帰るよ
ヴァンダーマー
ああ、分かった。ウェスも運転は気をつけるんだぞ

ウェスカーさんはそのまま、自身が乗って来た車へ引き返し運転席を開けた。
その一瞬、サングラスの隙間から視線だけがこちらを刺してきた。見間違いじゃない、きっと意図して彼はこちらを見た。彼はスモークガラス付きの車に乗り込み、その場から去っていってしまった。
ヴァンダーマー
まるで嵐だな、あいつは
あなた
…ははは…そうですね

生気のない笑いが出てしまった。怖くて魂が抜けたようだった。
ヴァンダーマー
すまなかった、あなたの下の名前。お前をウェスカーと合わせるべきでなかった

こちらに向き直し、頭を撫でられながら言われた。
あなた
い、いえ。私は大丈夫ですよ
ヴァンダーマー
そうか……ウェスの勘は相変わらずだった。
極力関わらない方が身のためだろうな

ダーマー額に手を当てて唸った。
できるだけダーマーさんには気を使って欲しくない。そう思っていたのだが中々上手くいかないものだ。
あなた
そういえば、ダーマーさん。出発前に言っていた、部下と合わせるっているのはいつ頃になりますか?

とりあえず、話題を変えてみよう。と言う私だが、正直ダーマーさんの部下の方々にも会ってみたいと思い、言ってみた。
今回 ウェスカーさんの件は突然のことで心の準備もままならなかったが、きっと次は余裕を持てるはずだ。
ヴァンダーマー
そうだな、今日は起きている者が少ないが、今日中には数名と会わせられる。呼びかけておこう
あなた
ありがとうございます、ダーマーさん

そう微笑みかけると、ダーマーさんも返してくれた。この柔らかい笑みが私は好きなのだ。あの日から、ずっと。

ウェスカーさんの次は、部下の人達と会うことになるだろう。ヴァイオレッドフィズでヘラシギさんに作って貰ったドリンクを飲んでリラックスする。

今日はいつもより長い一日になりそうだ。








































目覚めたら元同居人に遭遇しました【van】
Episode.3【Day1】続



こんばんは、さささ塔です。読んでいただきありがとうございます。ストーリーって難しいです。

そして補足ですが、主人公はダーマーさんのことをギャングやマフィアとは認識しておらず、どこかの偉い社長、上司と考えています。
この世界が物騒すぎるのです。そもそも異世界だしそんなこともあるよね、みたいな考えでこの数時間を生きています。

それでは次の機会にお会いしましょう。









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