俺が見上げたその先にいた人はとても
綺麗だった。
彼女は丘の上から俺を見つめている。その時ふわっと風が吹いた。
俺の近くで生えていたひまわりは風でそよがれている。
そして…彼女の綺麗な黒髪がふわっと風に舞う。
彼女は白のワンピースに身を包んでいた。僕を見つめるその目は純粋で真っ直ぐな目をしていた。
彼女の手はか細く、足はカモシカのように白く清らかに感じた。そんな彼女のことを俺は…
綺麗なんて甘い言葉だけでは語ることはできないとまで感じた。
いや、違う。「綺麗」という言葉が合わないんだ。彼女にはこの世の女性には持っていないなにかを感じた。
彼女はハットを持った僕を見ると眩しいくらいの笑顔で
とにこやかに笑った。彼女の笑顔はまるでビーチに咲くハイビスカスのようだ。
俺は思わず見惚れてしまい、ため息をしてしまうほどだ。
彼女は笑顔で俺の方へ駆けてくる。
サンダルを履いているのに俺の方へ急いで走ってくる。俺のところについたときには
疲れてしまっていた。無理もない。カンカンと照りつける太陽。それに走りづらいサンダル。
俺は悪いことをしてしまったという表情をしていると
彼女は息を整えながら俺を見つめる。彼女の顔からスーッと一筋の汗が流れる。
その時の彼女でさえも見惚れてしまいそうだった。
彼女は俺のバスケのユニフォームを見ている。
なぜ、知っているのだろう…?俺は首を傾げていると
彼女は俺を見つめて微笑む。太陽より眩しい笑顔に俺は思わず、目線を背けてしまう。
一拍遅れて返事をしてしまった。すると
見惚れていたなんて、あったばかりの人に言えるはずがない。
彼女は俺から帽子を受け取るとそう言った。
彼女は一気に丘を駆け上る。彼女のワンピースはひらひらと風に舞う。
俺はその姿を永遠に見ていたい。…ずっと心の中で留めておきたい。……君だけを見つめていたい。そう思えた。
彼女は丘の上で立ち止まると
と俺に向かって大声で叫び、ニコッと笑うと丘の向こうへと去って行った。
俺は彼女と出会った時間が短く思えた。……もっとずっと話していたかった。……ずっと…ずっと。
俺は胸に異変を感じた。胸…いやそれよりも奥深くまで。うずうずと疼いている。
彼女と会うまでこんなことなかった。初めてのことだった。最初はなんのことだかわからなかった。
でもすぐにわかった。
これが恋だと。
その時。ふわっと風が舞う。夏風の香り…。だが、俺には甘酸っぱい風だと感じた。














編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!