リノさんの家で、リノさんの作る美味しいご飯を食べて、リノさんと一緒に眠る。
そんな幸せな日が来るなんて、お付き合いする前は想像もしてなかった。
ベッドの中、暗闇に目を慣らしながら小さく声をかけると、すぐ隣でもぞもぞと布団が動く。
リノさんは声を出さない代わりに、そっと僕の腕を掴む。
その仕草だけで、“起きてるよ”って分かるのが、もう当たり前みたいになってる。
リノさんは一度止まってから、ゆっくりと距離を詰めてくる。
その一瞬の遠慮すら、愛おしい。
そう呟きながら、僕はリノさんの腰に腕を回して引き寄せた。
ぴたり、とくっつく体温
リノさんはちゃんとあたたかくて生きてるって分かる温度。
リノさんの指が僕のパジャマの裾をきゅっと掴む。
……ああ、もう無理
思ったままが口から漏れて、リノさんの肩がびくっと揺れた。
暗くても分かる。絶対照れてる。
そう言って、僕はリノさんの額に軽くキスを落とした。
一瞬、時間が止まったみたいになる。
リノさんの呼吸が止まって、それからゆっくり戻るのが分かる。
確認するように囁くと、リノさんはこくんと頷く。
そのあと、ぎこちなく僕の服を引っ張る。
“もっと”って言ってるみたいに。
今度は頬に、次はこめかみに、少しずつ距離を詰めるみたいにキスを重ねる。
リノさんは逃げず、むしろ少しだけ顔を寄せてくる。
名前を呼ぶと、唇に柔らかい感触があった。
胸がぎゅっと締め付けられる。
好きって言葉じゃ足りないくらい、大事だと思った。
思わず零れたその言葉に、リノさんは僕の胸に顔を埋めてきた。
ぎゅっと抱きしめると、同じくらいの力で抱き返してくる。
声がなくても、全部伝わる。
心臓の音も、体温も、触れ方も
全部が“ここにいていい”って言ってくる。
そう呟くと、小さく肩を揺らして笑った気がした。
そのまま僕の胸元に顔を押し付けて、離れようとしない。
……かわいすぎて、どうしよう
返事の代わりに、ぎゅっと腕に力がこもる。
もう、それだけで十分だった。
暗闇の中、リノさんの髪に顔を埋めながら目を閉じる
こんなに満たされる夜があるなんて知らなかった
僕はリノさんを抱きしめたまま眠りについた
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。