自信満々に、鼻を高らかにしてそういった。
確かに、そろそろ文化祭_神高祭がある。
まぁでも、🔳🔳🔳が主役をするのは、
ごく当然のことなわけだ。
だって、主役を決める時に、
手を挙げたのは🔳くんだけなんだもん。
演技を始める前から、
勝ち誇ったような顔をしてた。
思わず息を、飲んだ。
怖いくらい、違った。
全てが、いつもの彼じゃなかった。
まるで別の人格に取り込まれていくようで
それから、光り輝いて見えた
劇の主人公は、とある12歳の少年。
貧乏な家に生まれ、両親もいない。
残された病気の姉のために、
王家から盗まれた宝石を探して売り、
それで得たお金で薬を買おうとしている。
ただ似てる、とかのレベルじゃない。
本当に🔳くんなのか?
彼の姿は、もう、ただ姉を想う、
純粋な12歳の少年と化していた。
彼の口から出る声、言葉。
全部が鮮明に、主人公の性格や表情を
纏っていた。
よろめき方。倒れ方。
それすらももはや、🔳🔳🔳じゃない。
尋常じゃない。
演劇部でもない、
ごく普通の人間が、
簡単にできる範囲をとうに超えている。
正直プロと言われても頷ける。
すごかった。
ほんとに。
多分、🔳くんの、
光り輝くその宝石のような瞳に、
演技に、
惹かれたんだ。
いい成績を残したんだから、
頑張ったんだね
なんていうのは、ごく自然の誉め言葉なわけで
だから、
彼が頬を光らせながら
あんなに笑顔で喜ぶなんて、
思いもしなかったから吃驚した。
変なの。
ねえ
あのとき
君は
「 またな 」 って
言ったのに
夏休みに入る前。
セミの鳴き声がうるさくて、
女子生徒の悲鳴が、
とぎれとぎれにしか聞こえない。
最初は見に行くつもりなど
甚だなかったんだけど、
人が集まってはざわざわするので、
屋上に用があるから行ってくると言っていた
風紀委員の🔳くんの代わりに、
運動部の邪魔になるからと注意しにいった。
まあ当然の話だけど、
そのときは思いもしなかった。
🔳くんが屋上に行った理由が、
飛び降り自殺をするためだったこと。
あいつが死んだ。
嬉しいはずだ。
あんなに威張ってきて、
うるさくて、
バカで__
その頬を伝う雫が
涙だと
知っていた わかっていた
だけど
信じたくなくて
もうあの子は帰ってこない
もうこれからの僕の人生にあの子はいない
あの子を惜しみながら
この人生を歩むのは
空っぽの今の僕の体には
重すぎるから
眩しすぎる青い空。
ぽっかりと浮かんだ太陽。
残酷なほどに明るい太陽が、
僕のドロドロの心の内を
まるで舞台のスポットライトのように
重苦しく照らし続けていた
↬ 次回 # 光曳かれ
〆


















編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!