第28話

Page;26:スピンオフ01『僕はいつかこの恋を後悔する』
908
2025/03/06 09:00 更新
それからというもの、
練習試合の度にあの中学であなたさんの姿を探したが
一度も会うことはなかった。

たまたま部活で来ていたのだろう。

休日、時々流される彼女のストーリーは
彼女が撮ったであろう写真で埋まっていた。




Taehyun;
Taehyun;
(…あなたさんの顔、見たくなってきた)



何度、溜息を落としたかわからなくなったころ、
…中学3年に上がる直前くらいだ。

いつものように塾へ通う僕は、入り口で足を止めた。




…彼女が、いたのだ。



今日から入塾なのか、
うちの塾のテキストを両手で抱えながら
階段を登る姿に、思わず声をかけた。


Taehyun;
Taehyun;
あなたさん!
Ü
…あ!被写体くん!ここの塾だったんだ
Taehyun;
Taehyun;
荷物、半分持ちます
Ü
えっ、いいのに…
Taehyun;
Taehyun;
今日から入塾ですか?
Ü
そう、✕✕高校志望で
Taehyun;
Taehyun;
…同じだ
Ü
え?そうなの?じゃあ一緒に頑張ろうね
Taehyun;
Taehyun;
はい
Ü
やーなんで敬語なの、同い年でしょ?
Taehyun;
Taehyun;
…そうだね、タメで話すよ
Ü
名前は?
Taehyun;
Taehyun;
テヒョン
Ü
じゃあテヒョナだ!
Taehyun;
Taehyun;
…っよ、呼び捨て…
Ü
あ、ごめん距離感おかしいって
いつも言われる…テヒョンくんね、
Taehyun;
Taehyun;
いや、僕もあなたって呼ぶから…呼び捨てで



ドキドキと逸る心臓がうるさい。



彼女に呼ばれる自分の名前は、どうしようもなく柔らかく思えた。


Ü
テヒョナがいてくれてよかった
Taehyun;
Taehyun;
…っ、



楽しそうにあなたが笑う。



知り合いもいないのにこの塾を選んだから不安だったんだって。

ここまで自分の興味に感謝したことはかつてないと思う。

それくらい、あの日の偶然はキラキラと輝いて見えた。



成績順に席が配置されているこの塾。

隣に座った彼女は、また楽しそうに笑った。


Ü
テヒョナ!テヒョナも土日の模試受ける?
Taehyun;
Taehyun;
うん、受けるよ
Ü
テヒョナ〜判定下がったどうしよう〜…
Taehyun;
Taehyun;
僕も下がったよ、今回厳しめらしい
Ü
ほんと?!
Taehyun;
Taehyun;
うん、だから一緒に頑張ろう
Ü
テヒョナ〜ㅠㅠ
Taehyun;
Taehyun;
今日は何?ㅋㅋㅋ 
Ü
先生が授業まで時間あるから自習やれ!って…
Taehyun;
Taehyun;
僕も行くからそんな落ち込まないで笑
Ü
ほんと?!やった〜!



それから1年間。



週に3回、彼女は僕の名前を楽しそうに呼んだ。



くるくると変わる表情、僕を呼ぶ柔らかい声。

帰りの迎えを待つ間、伏せられる目元に落ちる睫毛の影。

その一瞬一瞬を逃すまいと必死に目をくるくると動かした。



それが週に5日に増え、6日に増え。

そうして、僕らは同じ高校に入学した。



これが、2つ目の偶然。

プリ小説オーディオドラマ