第30話

Page;28:スピンオフ01『僕はいつかこの恋を後悔する』
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2025/03/08 09:14 更新
高校2年生のときは違うクラスだった。



同じ学校、違う科の男子とあなたが付き合ったと風の噂で聞いた。

陸上部のその男子は
どんな人に聞いても“優しくて親切でいい人”と
答えられるほどの人柄で、
嫉妬しながらもあなたは前を向けたんだな、と安心した。



なのに、あなたと彼はその年の冬には別れたらしい。

理由は詳しく聞けなかったけれど、どこか安心していた僕がいた。



階が上下だったためあまり会う機会はなかったけれど、
それでも僕らは連絡を頻繁に取り合った。



そして、高校3年生。

4度目の偶然。




Ü
えッ
Taehyun;
Taehyun;
…あなた?!
Ü
え、え、同じクラスなの?!!
Taehyun;
Taehyun;
やばいね…奇跡すぎる
Ü
やったー!うれしい!



心の底から嬉しそうに笑うあなたの頭を数回
ぽんぽんと叩いて教室へ入る。

2年生の間伸ばしていたらしい、
あなたの髪がふわっとバニラの香りをさせて僕は頬を緩めた。



中学ではどれだけ望んでもありえなかった。

これから全てのイベントに最後の、が付く。

そんな最後を、あなたと過ごせるのだ。



嬉しいね、と同調して適当な席につけば、
隣に座ったあなたが楽しそうに頬杖をついた。



…まだ、あのことは聞けていなかった。







そして、僕も。





あなたへの気持ちを言えずにいたのだ。


Ü
テヒョナ、体育祭のお楽しみリレー一緒に出ようよ〜
Taehyun;
Taehyun;
いいよ〜、…え、待って、そ、それ…
Ü
ん?…あー、ちょっと距離近いけど大丈夫でしょ?




毎年距離感が近いことでお馴染みのお楽しみリレー。

何が大丈夫だ、おたんこなす。



今更やめる、なんて言い出せず腹を括った。

今年も、あなたに振り回される1年になりそうだ。





あなたの空気感が変わったことに気づいたのは、年末の模試。



休み時間中、ぼうっと前を見据えるあなたは、
僕にだけ分かるような甘い雰囲気を出していた。

その視線を目で追って、息を呑む。






…ああ、あの人だ。







あなたが何を考えて、
どんな気持ちでいるかは僕にはわからなかった。



こんなにそばにいたのに、結局理解できていない。

悔しい。

ここまで、あなたを振り回せるのか、あの人は。



そう思いながらも、
あなたが話してくれるまでは待とうと思っていた。

蓋を開ければ、彼らの話は僕なんかが入る隙がないほど
羨ましい話だった。

泣きながらあなたが必死に言葉を繋ぐのを見て、
羨ましいだとか思う。



親友だから、言えない。

好きだから、これ以上悩ませたくなかった。




Ü
ねえテヒョナ、
Taehyun;
Taehyun;
うん?
Ü
私やっぱり好きだ、ボムギュくんのことが
Taehyun;
Taehyun;
…何を今更
Taehyun;
Taehyun;
思いっきり顔に書いてあるってば、笑



悔しかったけど、それ以上にほっとしたんだ。



ずっと何かを抱えたまま笑う彼女に、やっと気付けた。

僕が気づけなかった、瞳の奥の揺れ。

それは、ボムギュさんとあなたのお揃いの傷だったんだね。








言えない、言わない。








駆け出していったあなたのバニラの残り香が鼻を掠めた。



1人、教室に残ってあなたの机に伏せれば、涙が溢れる。


Taehyun;
Taehyun;
…好きだ



なんて、今更言ってやらない。



僕の大事な、あなたへ。




幸せになってよ



















ばーか。


















-スピンオフ01『僕はいつかこの恋を後悔する』end-

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