第91話

失いたくなかった。
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2021/01/01 12:59
尼宮が体を貫かれた。
動揺するには十分すぎた。
俺は尼宮を抱きかかえ、跳んで離れる。
不死川実弥
不死川実弥
……
伊黒小芭内
伊黒小芭内
不死川…!
不死川実弥
不死川実弥
……
神代敢
神代敢
なンだ?どうしタ。そノおンなが傷ついてドウようでもしたノか?はははハははは️ァ!自業自トくなんだヨ!!女の分ざイでェ!!俺ヲ騙すかラこうナる!!
狂ったように笑い声をあげる神代敢を
ただ黙って見つめる。
神代敢
神代敢
おレをコロしたいなラ!!!ヨこじャなくて、縦だロう!!!ひァははははハハはは!!!
不死川実弥
不死川実弥
そうかァ…
頭を抱え、楽しそうにしている神代敢を二振り。
縦に斬る。
神代敢
神代敢
………ァア?
不死川実弥
不死川実弥
目障りだから、とっとと消えてろ…
縦に斬ると氷漬けにされた心臓が出てくる。
伊黒小芭内
伊黒小芭内
なるほど、これか
その心臓は伊黒が粉々に切り刻む。
呆気なく神代敢は灰となった。
呆気なかった、本当に。
こいつを消すために、あれ程時間がかかったのに消すのはこんなにもあっさりだったとは。
俺は寝かせている尼宮の所へと歩み寄る。
不死川実弥
不死川実弥
……尼宮…、終わったぞ……
貴女
貴女
……
不死川実弥
不死川実弥
寝てる場合じゃねぇぞ、さっさと起きろ
返事は何も無い。
その顔は、まるで、眠っているようで…。
不死川実弥
不死川実弥
…っ
伊黒小芭内
伊黒小芭内
……
俺は何も伝えられずに、また大切な人を失った。
俺はどれだけの大切な人を失えばいいんだ…?
もう、失いたくなかった…!!
不死川実弥
不死川実弥
くそがァ………っ、くそがァァア!!!

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