人 人 人 人がたっくさん
ああ、やっぱり外は大嫌いだ。
息がしにくい
頭が痛い
汗が滲む
早く、早くマンションへ向かおう。
そう考えると同時に足が速まる。
しかし、すぐに立ち止まった。
理由は信号に引っかかったから。
今日は運が悪いのかもしれない。
信号が青になるのを待ちながら、
サングラスをかけ直す。
そして顔を上げ、前を見る。
横断歩道の向こう側には、
黒髪のショートヘア、
センター分けのロング、
襟足のある金髪、
髪の短いメガネ、
前髪の長い茶髪、
などたくさんの人がいる。
人がいると認知するたび、
自分の眉間のシワが深くなっていくことを自覚する。
今から、あれだけの奴らとすれ違うかと思うと
吐き気がするな。
そういえば、いつからだったか。
人の表情をしっかり見れなくなったのは。
そう考えた途端、信号が青になった。
同時に、さっきのことは忘れ、早足で歩き出す。
横など見ず、正面だけを向いて。
途中、視線を感じたが無視した。
できるだけ早く、人混みを抜けたかったから。
だからもちろん、
私の名を呼ぶ声など気づく訳が無い。













編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。