赤髪のとも視点
始まっちゃったよ……
ぺんちゃん達が準備に入った。
みんなが怪我するのは嫌だ。
でもこれを乗り越えないと俺達は帰れない。
俺は……あかがみんクラフトのリーダー。
司令塔は誰がどう考えたって俺だろう。
俺の指示に従ってって 言わなくともみんなはたぶん俺の指示通りに動く。
というか指示を待つと思う。
俺の指示1つで、みんなを傷付けるかもしれない。
「ふぅ……」
表情に出すつもりは無いけど、結構緊張してる。
俺は、みんなを守らなきゃ。
もちろんみんな守ってもらうほど弱くないことはわかってる。
あなたさんなんて、俺より遥かに強い。
心も、力も。
わかってるよ。
でも、俺はリーダーだ。
守られたいじゃなくて、守ってあげたいっておもうのは我儘、かな?
はぁ ーーー。
みんな、俺の事気遣ってくれてんだろうなぁ。
俺はいい仲間をもったよ。 ほんとに。
ここまで言われたら、 俺の返す答えは1つ。
「 はいっ 」
その言葉を待っていたかのように、 みんな笑顔で返事してくる。
うん。頑張ろう。
1つ目のダンジョン、帰るための1つ目の手がかり。
身内以外で、初めての本気を見せる時。
絶対に、 落とさない。
俺が、落とさせないから。
安心して、みんな。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。