よっぴ~(鳥)視点
俺らのボールが、 大きな風に巻き上げられる。
馬鹿みたいに圧力の強いこの風に巻き込まれる。
俺らの手から離れたボールは、この風に乗って運ばれる。
俺が気を抜いたら、ここまで運んできた努力が… 、終わるんだ 。
皆がなんか言ってる。
悪い顔してないから、褒めてくれてるんでしょ?
日常組の皆さんなんて、めっちゃびっくりした顔してんじゃん。
ただもう、みんなの声聞いてる余裕なんてない。
集中しないと、圧力が弱まったらボールは爆発する。
ルートがずれたら、風のまとまりが緩んでボールが途中で落ちる。
ぎりぎりなんだ。
俺にかかってる。
俺史上、1番の集中力かもしれん。
集中しすぎて倒れそう。
それとも、これが魔法の使いすぎって言うのかな、?
どちらにせよ、倒れるわけにはいかない。
周りの音が聞こえなくなってきた。
視界が眩む 。
俺が集中してるからこうなるだけ。
絶対魔力切れなんかじゃねぇから、
そう自己暗示して、ゴールまで運びきった。
やっと、クリア出来たよね。
やった、 やったよみんな
…なんでみんなそんな浮かない顔してんの?
何を叫んでんの?
なんで、みんな泣きそうなんすか…
答えがわかる前に、 そっと瞼を閉じてしまった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!