差し出された手のひら。
そこには、ダイヤモンドよりも透き通った、小さな「石」が乗っていた。
あなたの好きな人の名前くんはそれを、ビー玉か何かだと思ったみたいで。
「うわ、綺麗!サンキュー!」
なんて、無邪気に笑ってポケットにしまった。
……馬鹿だなぁ。
それは、私の命の一部なのに。
私は、普通の女の子とは少し違う。
私の体の中には、真っ白な『砂時計』が隠れている。
恋をすると、その砂は「宝石」になって溢れ出し、私の心臓を少しずつ侵食していく。
お医者さんは言った。
「恋を捨てれば、もっと長く生きられる」と。
だから、私は彼に嘘をつく。
「あなたの好きな人の名前くんのことなんて、全然好きじゃないよ」
心臓を突き刺すような鋭い痛み。
ポロポロと、喉の奥から宝石が溢れ出しそうになる。
彼を好きになればなるほど、私は死ぬ。
でも、彼に嫌われれば、私はもっと醜く壊れてしまう。
ねえ、神様。
これは、恋を知った罰ですか?
それとも、彼に出会えたご褒美ですか?
宝石が床に落ちる音は、
私にしか聞こえない、絶望のカウントダウンだった。
NEXT ▶️













編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!