なろ屋Side
魔界での三界会議が終わって、はや四ヶ月。
そして、天界での三界会議の前日。
翔ちゃんの体調は悪くなる一方だった。
もうほとんど毎日寝込んでいる。
僕はKAITOから渡された、その報告書を読んだ。
いつの間にか、報告書にしわが入っていた。
どうやら強く握ってしまっていたらしい。
翔ちゃんは起きている時に、寝込んでいる時のことを知っているのにも関わらず何も言わなかった。
そこに少しだけイラついてしまった自分がいた。
何も見ていない?
それとも何かの夢を見ている?
そうだ。
僕は最近ある夢を毎日見る。
何か、いや、あの時の記憶だ。
日に日にそれは鮮明になり、モヤも見えなくなる。
しかし、それはとても残酷なこと。
それが進んでいくほど、堕天化するのもまた進んでゆく。
その記憶を思い出す代償として、ずっと寝込んでいるのなら。
すぐ答えは出た。
頭痛が一気に来た。
気づいた時にはもう手遅れだった。
彼の翼はほとんど黒くなっていた。
僕の頭から王冠が落ちた。
落ちた衝撃で王冠の前にある三つの宝石の一つが外れた。
彼の周りが黒くなっていた。
もうだめだ。
止められない。
真っ黒に染まった翼が、蝙蝠の翼になった。
その言葉を聞いた時、僕は悟ってしまった。
彼は堕天した、悪魔になったんだと。
いつのまにか彼は、前から消えていた。
黒い羽が数十枚舞い落ちていた。
そのうちの一枚が、彼を失ったからと、外れた宝石の上に乗って、それを黒く染め上げた。
でも、泣かない。
だって泣くことは、不幸の象徴だから。
天王である僕は、泣いてはならない――――
気づけば、そこはただの執務室。生界にある、ただの執務室。
“涙”が頬を伝う。
声は震えている。
“涙”は不幸の象徴。そして、天王である僕も流すもの。
王冠が落ち、宝石が一つ外れる。
残されたのは、大きな宝石一つのみ。
KAITO Side
嫌な予感がした。急いで執務室にかけてゆく。
執務室の前に着いたと同時に、カラン、と音がなった。
扉からを勢いよく開ける。
俺の目に映ったのは、
翼を大きく広げそれが黒く染まっていく、涙を流したなろっちの姿だった。
床に落ちていた王冠には、もう宝石が一つだけ。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!