黒髪のお客さんと目が合った途端、目の前が一瞬真っ暗になった。
そして、肩に重圧がかかったように感じる。
…この人、どれだけ大変なんだろう。
ほっとしたように肩を撫で下ろすと、くるりと店内を軽く見渡した。
ひとつのボードに目を止めると、書いてある文字を
口に小さく出しながら読み上げた。
ルールを読んで、どこに行けばいいのかわからなかったのか
おどおどしているお客さんに藍夢が声をかけた。
…お話、聞かないとかな。
少し戸惑いながらも応じてくれた。
名前は、雪乃さんね。
タバコを吸うのか、少しタバコの匂いがする。
重圧で座り込んでしまいそうなのを我慢しながら、
話を一生懸命進める。
「なんでも大丈夫です」なんて少し笑いかける。
雪乃さんは不安そうに少し
悩む素振りを見せるとゆっくりと口を開いた。















編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!