第5話

四羽
116
2025/07/15 14:02 更新
窓から陽が差し込む6畳の和室

そこに一人の少年が眠っていた
中島敦
中島敦
……ンッ……アレ…?
中島敦
中島敦
ここ何処だっけ……?
中島敦
中島敦
確か…夕べ……
太宰〝変身中の記憶は全く無しかい?〟

中島〝なんの事です…?〟

あなた〝でもまだ右手に残ってるね〟

中島〝右手…?〟
中島敦
中島敦
ッッ!!
バサッ!!
中島敦
中島敦
ハァハァ…ッ
昨日の記憶がフラッシュバックし飛び起き右手を確認する

いつもの人間の手

鋭い爪も獣毛もない
中島敦
中島敦
ハァ…
中島敦
中島敦
……
安心し溜息を吐く

そして部屋の中を見回す

部屋には必要最低限の設備が
中島敦
中島敦
久しぶりのだなぁ…天井…
ここ数日ずっと野宿だった中島にとってはそれだけで嬉しいことであり安心するのだ

ボンヤリ天井を眺めていると

ピリリリリッ…!

携帯電話の着信音が
中島敦
中島敦
ッ?!ナニ、ナニッ?!!
中島敦
中島敦
ぇ?あ!すぐ出ますッ!!今出ますッ!!(汗)
使い慣れない携帯電話の操作に慌てる中島

四苦八苦し何とか電話に出ることが出来た
中島敦
中島敦
ぁ、もしもしッ!!!
太宰治
太宰治
📞グッドモーニング!
中島敦
中島敦
あ、太宰さんですか…
かけてきたのどうやら太宰のようだ

朝から明るい元気な声が電話越しに聞こえてくる

太宰治
太宰治
📞今日もいい天気だねぇ〜
太宰治
太宰治
📞新しい寮の方はどうだい?
中島敦
中島敦
お陰様で、野宿と比べたら雲の上の宮殿のようです!
太宰治
太宰治
📞それは良かったァ
太宰治
太宰治
📞枕元の着替えは探偵社の皆からのプレゼントだ
中島敦
中島敦
ホント、何から何までありがとうございます!
太宰治
太宰治
📞ところで敦君、いきなりで申し訳ないがァ…
中島敦
中島敦
太宰治
太宰治
📞緊急事態が発生したのだ…
中島敦
中島敦
緊急事態…?
太宰治
太宰治
📞あぁ、一刻を争うのだよ
太宰治
太宰治
📞すぐに指定の場所にきてくれたまえ
太宰治
太宰治
📞大変な事態だ!
太宰治
太宰治
📞君だけが頼りだよ…!
中島敦
中島敦
はい、分かりました…!
切羽詰まった声に緊張する中島

すぐに服を着替え外に出る準備をする
太宰治
太宰治
📞用意はいいかね?敦くん
中島敦
中島敦
はい…!
太宰治
太宰治
📞まず外へ出たらドアをちゃんと閉めて、後ろを見ろ!!
中島敦
中島敦
後ろッ!…ッ!!
タタタッ…!

言われた通り後ろを振り返る

そして見えた光景に驚き急いで階段を駆け下り近づく
中島敦
中島敦
……えぇっと……(汗)
中島敦
中島敦
これはなんですか……?(汗)
中島がみた光景、それは……

ドラム缶にお尻からスッポリとはまり顔と足だけが出た状態の太宰が
太宰治
太宰治
なんだと思う?
中島敦
中島敦
うーん…朝の幻覚……?
太宰治
太宰治
ハッズレ〜!!
中島敦
中島敦
まさか!敵の襲撃ですか?
中島敦
中島敦
罠に掛かったとか?!
太宰治
太宰治
自分で入った
中島敦
中島敦
はぁ??(汗)
平然と言ってのける太宰に拍子抜けする中島
太宰治
太宰治
いや、何ねぇ?
太宰治
太宰治
こうしてドラム缶にハマる自殺法があると聞いたものだからぁ
太宰治
太宰治
ちょいと試してみたのだよ
太宰治
太宰治
ところがこの通り試してみると、苦しいばかりで一向に死ねない
太宰治
太宰治
しかも、ここまでハマると自力では出られない
太宰治
太宰治
死にそ〜
中島敦
中島敦
ハァ…でも自殺法なのですから
中島敦
中島敦
そのままそうしていればいずれ自殺出来るのでは…?(汗)
ド正論である

しかしその言葉をすぐに否定する太宰
太宰治
太宰治
私は自殺は好きだが、苦しいのも痛いのも嫌いなのだ!
太宰治
太宰治
当然だろう!
無茶苦茶である
太宰治
太宰治
それに……!
中島敦
中島敦
なるほど…ハァ……(呆れ)
未だ何か言っている太宰に呆れる中島

盛大な溜息をこぼす

そして
中島敦
中島敦
エイ
太宰治
太宰治
オトトトッオットォッ?!
ガシャンッ!

両手でドラム缶を押す

すると中に入っていた太宰ごとひっくり返る
中島敦
中島敦
(僕の名前は中島敦…)
中島敦
中島敦
(先日、無自覚なまま虎に変身して暴れていた所をこの人、太宰さん)
中島敦
中島敦
(そしてその後輩であるあなた君に助けられた…)
中島敦
中島敦
(そして太宰さんはこんな感じだけどあの異能力集団)
中島敦
中島敦
(武装探偵社の一員だった)
中島敦
中島敦
(同じくあなた君もである)
〝今日から君は武装探偵社の一員だ〟
中島敦
中島敦
太宰治
太宰治
はぁ〜痛かった
太宰治
太宰治
助かったよ、敦君
太宰治
太宰治
君がいなかったら腰からポッキリ2つ折りになるところだった
ドラム缶に座り凝り固まった腰をポキポキと鳴らす太宰

そんな太宰を横に座りジッと見つめる中島
中島敦
中島敦
他の同僚の方に助けを求めなかったんですか?
中島敦
中島敦
あなた君とか…
太宰治
太宰治
電話したよォ?死にそうなんだけどって
太宰治
太宰治
そしたら皆口を揃えておめでとうございますだってさァ…
太宰治
太宰治
どう思う?
中島敦
中島敦
でしょうね…
太宰治
太宰治
あなた君は電話にすら出てくれなかったよ
太宰治
太宰治
恐らく国木田君に出なくていいとでも言われたんだろうね
中島敦
中島敦
アハハハ…(汗)
太宰治
太宰治
全く…異能力者って連中は皆、何処か心が歪だ
中島敦
中島敦
…(異能力者…か…)
中島敦
中島敦
太宰さん
太宰治
太宰治
ん?
中島敦
中島敦
武装探偵社の所謂探偵の方達は、やっぱり皆さん異能力者…なんですよね…?
太宰治
太宰治
そう、警察でも歯が立たない敵を倒す武装集団だ
中島敦
中島敦
その言葉を聞き意志を固める中島
中島敦
中島敦
やっぱり僕は武装探偵社には入れません…
太宰治
太宰治
君も立派な異能力者じゃないか
中島敦
中島敦
確かに、虎に変身するのは異能力ですが
中島敦
中島敦
僕はその異能力を全く制御できません
中島敦
中島敦
ただ無自覚に変身してしまうだけで…
中島敦
中島敦
自分の意思で虎になることはできないんです…
中島敦
中島敦
だから僕が入っても何の役にも立てないと思います
中島は立ち上がり太宰の方に体を向ける
中島敦
中島敦
ありがたいお話ですが、すみません…
そう言い頭を下げる
太宰治
太宰治
これからどうするつもりだい?
中島敦
中島敦
何とか僕にできる仕事を探してみようと思います
中島敦
中島敦
そう簡単に見つかるとは思いませんが…
苦笑いをする中島

すると
太宰治
太宰治
君ができそうな仕事に心当たりがある
中島敦
中島敦
ぇ?
太宰治
太宰治
良ければ斡旋してあげられるが?
仕事探しに苦戦するであろう中島に提案する太宰

その言葉に曇っていた表情か明るくなる
中島敦
中島敦
ホントですか!
中島敦
中島敦
よろしくお願いします!!
太宰治
太宰治
これから向かうのはその仕事を紹介してくれる保証人さんのところだよ?
太宰治
太宰治
必ず君のことを気に入ると思う
そう話しながら街中を歩く
中島敦
中島敦
その仕事ってェ…
太宰治
太宰治
着いてからのお楽しみ!
太宰治
太宰治
ま、ちょっとした試験はあるかも
中島敦
中島敦
エッ!試験?!
唐突に言われ焦る中島
太宰治
太宰治
敦くん、字書ける?
中島敦
中島敦
一応…読み書きくらいなら…(汗)
太宰治
太宰治
なら大丈夫だよ!
中島敦
中島敦
ホッ…
大丈夫だと言われ安心する中島

安堵の溜息を吐く
太宰治
太宰治
君なら大丈夫だ、私が保証する!
中島敦
中島敦
助かります!
太宰治
太宰治
ハハハッ!感謝したまえ!
太宰治
太宰治
私に任せておけば万事大丈夫!
太宰治
太宰治
何故なら私は太宰
太宰治
太宰治
社の信頼と民草崇敬を一身に浴する男なのだから✨️
顎に手を添え決めポーズをする太宰

刹那
国木田独歩
国木田独歩
こんな所に居ったのか、太宰ッ!!!‪💢‪💢
前から怒号が聞こえてくる

そちらを向けば鬼の形相の国木田が

そしてヅカヅカと歩いてくる
中島敦
中島敦
ヒィィ…!
国木田独歩
国木田独歩
この包帯無駄使い装置がァ!!!💢‪💢‬
太宰治
太宰治
ゔぁぁあぁぁあぁッッ!!!
太宰治
太宰治
く、国木田君…今の呼び名やるじゃないか…
手で顔を押さえる太宰

少し傷ついたようだ
国木田独歩
国木田独歩
誰が社の信頼を一身に浴する男だッ!
国木田独歩
国木田独歩
お前が浴びてるのは、文句と呪いと苦情の電話だ!!
中島敦
中島敦
えぇ…(汗)
太宰治
太宰治
えぇ〜私がいつ苦情なんて受けたのさぁ
唇を尖らして言う
国木田独歩
国木田独歩
八月某日、入電…
国木田独歩
国木田独歩
お宅の社員さんが海岸の漁業網に引っかかってるんだけど、引き取ってくんない?
中島敦
中島敦
…(汗)
国木田独歩
国木田独歩
九月某日、入電
国木田独歩
国木田独歩
うちの畑に変な人が埋まっとったんじゃがそちらの同僚さんかのう?
中島敦
中島敦
えぇ……(引)
国木田独歩
国木田独歩
同月某日、入電
国木田独歩
国木田独歩
うちの飲み代の付けちゃんと払ってくださいね!半年分です!
声色を変えて話す国木田

そんな国木田に目を見開く太宰
太宰治
太宰治
そんな馬鹿なッ…!!
太宰治
太宰治
国木田君がこんなにモノマネが上手いなんてェェ!!
国木田独歩
国木田独歩
‪💢‪💢‪💢‪
国木田独歩
国木田独歩
貴様ァァ!!!‪💢‪💢
国木田独歩
国木田独歩
人を愚弄するのも大概にせんかァァ!!!‪💢‪💢‪💢‪
道のど真ん中で怒鳴り声を上げる国木田

国木田に襟を捕まれガクガクと揺さぶられるも楽しそうにしている太宰

そんな二人を見てドン引きの中島
中島敦
中島敦
この人に仕事の斡旋をしてもらって、本当に大丈夫なんだろうか…(汗)
先が思いやられる中島
国木田独歩
国木田独歩
おぉ、そうだ
国木田独歩
国木田独歩
太宰の馬鹿を相手にして、1分も無駄にしてしまった
国木田独歩
国木田独歩
探偵社に急ぐぞ!!
太宰治
太宰治
なんでぇー?
国木田独歩
国木田独歩
緊急事態だ
国木田独歩
国木田独歩
爆弾魔が人質を取って探偵社に立て篭った
太宰治
太宰治
中島敦
中島敦
爆弾魔…
国木田の言葉でこの場に緊張が走る
とある街の一角に立つビル
中島敦
中島敦
あのォ……
国木田独歩
国木田独歩
何だ?
国木田独歩
国木田独歩
探偵社はこのビルの4階だが
中島敦
中島敦
いや、そういう事じゃなくて…
こっそりとビル内に入る三人
何故か探偵社まで着いてきてしまった中島

異能力者とはいえ制御もできない

そして相手は爆弾魔である
太宰治
太宰治
念の為に階段で行こう
中島敦
中島敦
あのですねッ!
国木田独歩
国木田独歩
静かにッ!
中島敦
中島敦
ぁッすみません……
自分は行かないと言おうとするが怒られてしまった
太宰治
太宰治
行くよ?敦くん
中島敦
中島敦
はい…?
爆弾魔
爆弾魔
嫌だ…もぉ嫌だ……
中に入るとリモコンを持った少年が奥の机の上に座りこんでいた

彼の横にはいくつもの導線やパネルが着いた箱が

そして足元には二人の少女が

一人は黒髪ロングをおろした少女

もう一人は金髪ロングてポニーテールの少女

二人とも手を縛られ口には布を噛まされていた
爆弾魔
爆弾魔
全部お前らのせいだッ…武装探偵社が悪いんだッッ
爆弾魔
爆弾魔
社長は何処だッ!!
爆弾魔
爆弾魔
早く社長を出せッ!!
爆弾魔
爆弾魔
でないとッ!
ガシッ
谷崎ナオミ
谷崎ナオミ
ッ!!
爆弾魔
爆弾魔
爆弾で皆吹き飛んで死んじゃうよ?
二人の少女のうち黒髪の少女を掴み上げる

怯える少女などお構い無しに叫び乱雑に手を離す
太宰治
太宰治
怨恨かぁ、面倒なタイプだね…
国木田独歩
国木田独歩
あぁ…
物陰に隠れ爆弾魔の様子を伺う二人

中島はというと
中島敦
中島敦
(僕は何故ここにいるんだ…?(汗))
自問自答している
国木田独歩
国木田独歩
犯人は余程、探偵社に怒り心頭らしい
中島敦
中島敦
役に立ちそうもないので、帰っていいですか……?
太宰治
太宰治
うちは色んなところから恨みを買うからねぇ
中島敦
中島敦
無視ですか……
太宰治
太宰治
それにアレ、高性能爆弾だよ
太宰治
太宰治
犯人の言う通り、あれ爆発したらこのフロアーぐらい吹き飛ぶね
中島敦
中島敦
そんなァ……
太宰治
太宰治
爆弾に何か被せれば、ある程度は爆風を抑えられるかもしれないが…
太宰治
太宰治
この状況じゃあね…
太宰治
太宰治
しかも女性を人質にとるとは、卑劣な
中島敦
中島敦
あの女の子達は…?
太宰治
太宰治
右の子はナオミちゃんで左の子はナギサちゃん
太宰治
太宰治
二人ともバイトの事務員さんだ
中島敦
中島敦
バイトさんッ?!
中島敦
中島敦
それじゃあ完全にとばっちりじゃないですか…!(汗)
国木田独歩
国木田独歩
どうする?
太宰治
太宰治
会わせてあげたら?社長に
国木田独歩
国木田独歩
殺そうとするに決まってるだろ!(汗)
国木田独歩
国木田独歩
そんな所にむざむざと社長を出せるかッ!
国木田独歩
国木田独歩
出張中でよかった
太宰治
太宰治
となると…方法は一つ
そう言い何かの構えをとる二人
中島敦
中島敦
(異能力を使うのか…?)
緊張が走る

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