菊池side
収録スタジオの隅
俺は女性スタッフと今日のパフォーマンスの
段取りを確認していた
「風磨さん、Bメロの立ち位置なんですけど…」
菊池「了解。俺が将生の後ろに入ればいい?」
そんなふうに淡々と話を進めていたら_____
橋本「……風磨くん」
いつもより低めで、どこか拗ねた声が背後から聞こえた
振り返る前からわかる。この声は確実に将生
クールそうな見た目しといて感情が顔に出やすい
今だって大きな瞳で俺をじーっと見ている
口元はへの字で、耳だけ真っ赤
あー……これは嫉妬かな?笑
菊池「将生、どうした?」
橋本「いや、……見てただけです」
菊池「俺のこと?」
橋本「…そうですけど」
素直じゃん
いやたぶん、本人は今のも素直じゃないつもり
なんだろうけど
スタッフに軽く頭を下げて離れ、将生の正面に立つ
菊池「将生、怒ってる?」
橋本「怒ってません」
菊池「んじゃ、拗ねてる?」
橋本「拗ねてもないです」
菊池「ふーん。じゃあ……」
菊池「なんでそんな怖い顔してるの?」
橋本「怖い顔、してないです……!」
かわい、これは可愛いだろ
俺はゆっくり一歩近づく
将生は反射的に後ろに下がるけど
逃げないでそこに立つ
菊池「さっきさ」
橋本「……はい」
菊池「俺が女性スタッフと話してんの、気になった?」
橋本「………気になってないです」
わかりやすい、この間
嘘をつくのも下手くそなんだよな
菊池「将生」
名前を呼びながら顎に指を添えると
びくっと震えて俺を見る
橋本「……な、なんですか」
菊池「彼氏の俺に、嘘つくの?」
橋本「……っ、嘘なんか」
菊池「嫉妬した?」
橋本「し、してないって言ってるでしょ…!」
声が完全にうわずってる
こんなん確定だろ
菊池「ねぇ将生」
橋本「…なんですか」
菊池「俺がほかの女に笑いかけてるの見るの」
菊池「嫌だった?」
沈黙
目線が揺れて、そして小さく……
橋本「……や、だった……です」
その一言が理性を削るほどに可愛い
菊池「将生、こっち向け」
そっと顔を手で包むと、将生は抵抗せず見上げてくる
橋本「……別に嫉妬とかじゃないのに」
菊池「じゃあ?」
橋本「ただ、風磨くんがあの人に楽しそうに笑うから」
橋本「胸が変な感じで……」
菊池「なるほど」
菊池「で、それを世間では"嫉妬"って言うんだよ」
橋本「ち、違……っ」
反論しながら、俺の服をぎゅっとつまむ
隠そうとしてる癖に、嫉妬が丸見えで
たまらなく愛おしい
ツンデレだけど、甘えん坊だ
菊池「仕事だから誰にでも笑う」
菊池「でも、本物の笑顔はお前限定」
橋本「なにそれ、ほんと?」
菊池「ほんと」
橋本「じゃあ、今日はこれまでにないぐらい」
橋本「笑顔見せてください」
菊池「うん、お前が欲しいならいくらでも」
俺が言うと、将生は困ったみたいに眉を下げて、
でも嬉しそうに小さく笑った
橋本「……あとで抱きしめてください」
菊池「ん、帰ったらすぐ抱きしめてやるよ」
橋本「……いっぱい?」
吹き出しそうになるのを必死でこらえる
んだこのあざといのは
菊池「将生、嫉妬してくれてありがとな」
橋本「……してないって、言ってるのに…!」
菊池「んじゃ、家帰るのを楽しみに仕事やるぞ」
橋本「はい、!」
将生の嬉しさが混じった返事
その声を聞いた瞬間
"あぁ、こいつほんと可愛いな"
って、心から思った
れいんさんからのリクエストでした!
遅くなってしまいすみませんでした🙇🏻♀️
お待たせしました🥲













編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。