橋本side
菊池「……誰も来ないな」
集合時間の少し前、人通りの少ない場所で
風磨くんとふたりきり
当たり前のように腰に手が回ってくる
橋本「でも、ちょっと近すぎ…」
口ではそういいながらも、逃げない自分が情けない
菊池「今だけ」
菊池「表ではできないんだから、これぐらいいいだろ」
橋本「……バレたらどうするんですか」
菊池「その時はその時」
余裕のある先輩の顔で本当にずるいと思う
橋本「……だからって、」
「……何してんの?」
聞き慣れた声に背筋が凍る
寺西「こんなとこで、ふたり何してんの?」
菊池「いや別に、普通に話してただけだけど」
一瞬で風磨くんの手が離れる
寺西「最近さ、距離おかしくない?」
橋本「……」
寺西「裏でなんかコソコソしてるよね」
寺西「バレてるから、正直に言って」
一瞬の沈黙のあと、
菊池「……気づいてたか」
寺西「否定しないんだ」
菊池「しない」
菊池「俺たち、付き合ってる」
頭が真っ白になった
こんな形で言うつもりじゃなかったのに
寺西「……ふざけんなよ」
寺西「隠してんのが一番問題だろ」
菊池「わかってる」
寺西「じゃあなんで相談しなかった」
菊池「グループを守りたかった」
菊池「誰かが気まずくなるのも、空気が変わるのも」
菊池「嫌だった」
即答だった
それに対して、寺くんが1歩前に出て
寺西「でもさ、」
寺西「結果的に信頼削ってるって分かんない?」
寺西「俺たち、家族なんじゃないの?」
菊池「……だから言えなかった」
風磨くんの声が少しだけ低くなった
菊池「家族だから壊したくなかった」
その言葉に寺くんはしばらく黙った
寺西「んで、なんも喋ってないけど」
寺西「将生はどうなの」
急に話を振られて心臓が跳ねる
橋本「……おれはっ、、」
菊池「俺が悪い、隠れさせた」
寺西「庇わない、2人の問題だろ」
視線が俺に向く
橋本「……俺も、黙ってました」
橋本「言ったら、関係が壊れると思って怖かったです」
橋本「すみません……」
俺の言葉に寺くんが深く息を吐く
寺西「正直、腹は立ってる」
菊池「だろうな」
寺西「でも、お前らが真剣なのもわかった」
橋本「え、」
俺は思わず顔を上げた
寺西「ただし」
寺西「みんなに正直に話すこと」
寺西「あと、仕事に私情は持ち込まないこと」
菊池「わかった」
しばらくして寺くんは笑った
寺西「ん、ならもういいよ」
寺西「ちゃんと向き合ってるなら、」
寺西「俺はもうなんも言わない」
その場を離れていく寺くんの背中を見送りながら
俺は息を吐いた
菊池「怖かった?」
橋本「……はい」
菊池「わりぃ、不安にさせたよな」
橋本「謝らないでください」
橋本「俺たち2人の問題です」
菊池「そうだな」
俺も密かに風磨くんに甘えてたのかもしれない
これを機に一緒に背負う覚悟ができた
それは、仲間が逃げずにぶつかってくれたから
fin
自称凪のTO。みすず さん からのリクエストでした!
遅くなってしまいすみません🙇🏻♀️
ちょっと内容おかしいかもです……💦













編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。