第3話

 赫 彡 《 う つ 病 》
193
2026/03/02 10:31 更新







   目は覚めてる 。











   でも 、起きれない 。













 

   カーテンの隙間から光が入ってるのが分かる 、














   朝だって分かってる 。











 

   でも 、 体が重りがついてるみたいに重い 。







 𝚈
 ... 起きないと 





   声に出す 。








   でも 、それだけ










 

   指一本を動かすのに 、理由がいる 。











   理由を考えるのには 、力がいる 。














   布団の中が安全すぎて 、外が遠い 。












 

   昨日なにかあったわけじゃない 。











   怒られたわけでも 、失敗したわけでもない 。








 

   なのに 、









 

   胸の奥に 、重たい塊がある 。










 

   理由がないのがいちばんつらい 。













   原因があれば 、直せる気がするのに 。

 






















   そんな事を考えて 、













   やっとの思いで体を起こす 。












   それだけで息が上がる 










 
 
   洗面所に行って鏡を見る 。

 













   鏡に映ってる俺自信の顔が 、














   知らない人みたいに見える 。








 
 𝚈
 … なんでこんな顔してんだろ 









   元気そうに見せようと口角を上げてみる 。













   でも 、すぐに下がる 。





 











   学校に行く日はやっとの思いで行く 。







 H
 おはよ 
 R
 おはよう ...  ! 







   二人とも 、










   いつも通り優しい声 。











 

   返事をするのに 、一拍遅れる 。

 






 𝚈
 ... おはよ 









   声が 、自分のものじゃないみたいに薄い 。












 

   授業が始まる。

 


















   黒板の字が読めないわけじゃない 。













   先生の声も聞こえてる 。










   でも 、意味が入ってこない 。










 

   頭の中に 、霧がかかってる 。







 


   ノートを開く 。









   ペンを持つ 。











 

   それ以上ができない 。















 

   考えようとすると 、すぐ疲れる 。








 

   〝 前はできてたのに 〟







 




   その考えが浮かんで 、すぐ自己嫌悪に変わる 。








 

   〝 怠けてるだけ ? 〟










   〝 甘えてるだけじゃ 、 ? 〟

 








   何もできない自分が 、どんどん小さく見える 。





 






   昼休み 。






 R
 ... 食べないの ? 
 𝚈
 後で ... 








   本当は 、食べる元気がない 。










 

   ひづみがパンを半分こにして差し出してくる 。 




 H
 一口でもいいから 、 
 



   優しい 。









   本当に優しい 。







 

   でも 、その優しさが刺さる 。

 













   〝 心配かけてる 〟










   〝 迷惑 〟













   って









 𝚈
 ごめん ... 
 H
 なんで謝んの ? 
 𝚈
 分かんない 、  





   本当にわからなかった 。














   放課後 。








 

   二人が話してるのを 、少し離れて聞いてる 。








 

   楽しそうな会話 。








 

   前までなら〝 普通 〟に混ざれてた 。






 



   今は 、どう入ればいいのか分からない 。

 










   興味がないわけじゃない 。










   でも 、感情が動かない 。









 

   笑いどころで 、笑えない 。









 

   好きだった曲をイヤホンで流す 。













 

   流しても 、何も響かない 。

 













 

   楽しかったものが 、ただの音になってる 。


















 

   家に帰ってきて










 

   机の上にある宿題 。





 

 




   やらなきゃいけない 、










 

   でも 、ページを開いただけで頭が重くなる 。











 

   一問読んで 、止まる 。










 


   考えるのが 、しんどい 。









 

   スマホを見ても楽しくない 。











   動画も 、ゲームも 、何も 。












 


   ただ 、時間だけが過ぎる 。












   でも 、脳内では
 














   〝 何もできてない 〟













   〝 何も役に立ってない 〟












   〝 いない方が楽なんじゃないか 〟













 

   そこまで考えて 、怖くなる 。

 






 






   夜 、










 

   ひづみとらみからの












   メッセージ 。
















   『 ひづみ / 今日 、顔色ちょっと悪かった 』

 










   『 らみ / 明日もしんどかったら言ってね 』







 





   胸が 、ぎゅっとなる 。









 

   ありがたい 。








 

   でも同時に 、






 𝚈
 こんな俺 、めんどくさいだろ ... 苦笑 








   そう思ってしまう 。










 

   返信を打つ 。









 

   『 大丈夫 』













   って 。













 

   嘘だって分かってる 。









 


   でも 、本音を説明する力がない 。












 

   ベッドに横になる 。











 

   何もしてないのに 、疲れ切ってる 。













 
   理由のない重さ 










   動かない体










   鈍い思考











   何も感じない心


















 

   それでも 、朝はまた来る 。








 

 






   今日も 、ちゃんと生きた 。













 

   それだけで 、 毎日がぎりぎり 。
















   それだけで 、


















   俺には精一杯だから 。









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