教頭先生が去り、部屋には喫茶部のメンバーだけが残った。
そう言って、かすかに笑った。
樹先輩の実家は花屋のはずだが、俺が知らないだけで最近の花屋は情報屋も兼ねているものなのか?
……いや、そんなはずはない。と思う。
秀真先輩はニヤリと笑った。
秀真先輩は得意げに笑うと、うれしそうにティーカップの準備を始めた。
* * *
ルイ先輩が一人一人のカップに、美しく澄んだ色の紅茶を注いでいく。
すると、ルイ先輩は手のひらに茶葉を少し取って見せてくれた。
ルイ先輩の説明に、期待を膨らませながらカップを口元に近づけると、ふわりとバラの花のような香りがした。
思いつくままに飲んだ感想を述べると、ルイ先輩は嬉しそうに手を叩いた。
手放しで褒められて、恥ずかしくなる。
照れ隠しに、もう一口キーマンを飲んだ。
物言いたげな樹先輩の視線に気づいたすばる先輩が、パチンとウィンクを返した。
それを聞いて、樹先輩は黙ってうなずく。
スイーツが待ちきれないのか、給湯室に向かったすばる先輩を目で追う樹先輩を見ていると、ふと思いついた。
すると、樹先輩が少し驚いたような顔をして俺を見た。
ルイ先輩も俺の意見に賛同すると、
つぶやいて、鋭い目つきを俺に向ける。
内心ビクビクしながら見ていると、
そんな言葉と共に、わずかに微笑まれた。
すばる先輩の声に、樹先輩がいそいそと立ち上がる。
秀真先輩も慌てて給湯室に入っていったので、俺とルイ先輩だけが残った。
みんなが救われた姿を思い出して、感慨にふけっていると、
ずっと疎ましく思っていた能力だが、あらためてルイ先輩にそう言ってもらえると、少しだけ誇らしく感じられる。
ルイ先輩は寂しそうな顔をして、目を伏せた。
言いかけた時、すばる先輩の明るい声が聞こえてきた。
ルイ先輩はいつもの穏やかな笑顔に戻ってしまったので、それ以上は聞けなかった。
けれど、一瞬だけ見えた寂しそうな表情が、いつまでも俺の心に引っかかっていた。
















編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。