放課後、俺は荷物をまとめると、いつものように第一特別活動室に向かった。
喫茶部でさまざまな紅茶を飲むうちに、だんだん紅茶に興味が出てきて、家でもよく飲むようになった。
最近では、気になった茶葉をネットで取り寄せたりもしている。
階段を下りていると、踊り場でぼんやりと窓の外を眺めている制服姿の女の子が見えた。
その体はうっすらと透けている。
そのまま通り過ぎようかとも思ったが、
彼女の後ろ姿に、そっと声をかけた。
彼女は、チラリと俺の方を振り返って、また窓の外へと視線を移した。
喫茶部の活動を通して、忌々しいと思っていたこの能力も、そんなに悪くないものだと思えるようになった。
少しだけ自分を好きになるきっかけをくれた喫茶部と、スカウトしてくれたルイ先輩には感謝している。
一人うなずいて、また歩き出した。
* * *
第一特別活動室のドアを開けて中に入ると、そこには誰もいない。
給湯室をのぞくと、ルイ先輩が戸棚から紅茶の缶を出して整理しているところだった。
給湯室の小さなキッチンには、色とりどりの紅茶の缶が積み上げられていた。
俺は戸棚の中の紅茶を取り出しながら、日付をチェックする。
やがて、一番奥にあった高級そうなエメラルドグリーンの缶を見ると、賞味期限があと半年もない。
けれど、ルイ先輩はその缶を見た途端、
なんとも言えない、寂しそうな表情をして首を横に振った。
それ以上聞けないまま作業に戻るが、心はモヤモヤしたままだ。
一人で考えていると、
ルイ先輩は、黄色の箱を嬉しそうに取り上げた。
* * *
その名を聞いて、樹先輩の目の色が変わった。
二人は嬉しそうに、給湯室へと向かう。
一通り説明を終えて、ルイ先輩は給湯室に入った。
その後ろ姿を見ながら、近くにいた秀真先輩に話しかける。
いつも穏やかで、幸せそうなルイ先輩からは想像もできない波瀾万丈な生い立ちに、俺は少なからずショックを受けた。
















編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。