と、白い煙を吐く。
そして、細い紙巻きをまた唇に当てる。
息を吸う。
独特の苦味があった。
何度吸っても慣れないこの感じ。
同時に、快楽がアルの体を襲った。
こうやって煙草に依存していくんだな。
アルは感心した。
ルナの前でも言ったよな、とアルは思う。
でも、本心なのだ。
もう、死ぬ準備なんてとっくにできている。
それなのにさ
体はまだ、死のうとしていない。
生きるのを諦めていない…?
早く、
もっと、
死へ近づきたい。
現実から逃げたい。
え?
アルは戸惑った。
自分は今、なんて……?
「生きたい」と、言ったのか?
気づけば言っていた言葉だった。
体は、
本能は、
生きたがってる。
『生きていたくない』
その感情を不適切とし、排除するように。
生きたくないと思う心に逆らって、体は生き続けようとしてるのを感じる。
でも、ふざけるんじゃない。
いつまで、生き続ければいいんだ。
こんな地獄、あとどれだけ耐えればいいんだ。
もう、この病気は治らない。
そうなんだろ?
なら、とっとと終わっちゃえ
何て思いながら、アルは煙草を吸い続けた。













編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!