第2話

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2024/11/10 17:05 更新
アルは全てを諦めていた。





理由は単純。





こうなった原因も





これから自分が辿る運命も





全て分かりきっていた。






自分は大丈夫。






もう、後は死ぬだけ。






何も怖くなんてない。






だから、不安も心配もいらない。






…夢や希望もいらない。






何も考えなければ、何もない。






それがいい。






そう、アルは自分に言い聞かせてきた。






『本当に?』






いや、何もしなくていい。






生きたいなんて、思うだけ無駄だよ。






このままでいいんだ。





そう、言い聞かせる。






ルナ
ルナ
アル、昨日ぶり






翌日。





雨が強く降っていて、病室にも雨音が響いていた。






空気もじめじめしていて、少し気分が良くない。







ルナの髪も湿気で少しうねっていて、いつもより膨らみがある。






アル
アル
来ないでって言ったのにさ






それに対してアルはいつもと変わらない。





髪も、態度も。







アル
アル
私なんて、早く死ねばいいのに。







それは間違いなく、アルの本心だった。







自分が死んだら、ルナは自分になんか干渉しなくなるのに。







しないで済むのに。







でも、本当に?






本当にそうなのか?






全てがそうなのか?






アルは自分に自分で問う。






答えなど、出るわけもない。






アルの言葉は、ルナの胸に突き刺さった。






ルナ
ルナ
簡単にそんなこと言わないでよ!






この感情は何だろうな。






ルナは思う。






怒り、だろうな。






ルナ
ルナ
そう言って、死ぬ勇気もないくせに!







ルナは知っていた。







アルが死のうとしたことを。






少し前、アルは一度死のうとした。






ナイフを持ち、






自らの命を絶とうと、手に力を込めた。






でも






刹那、恐怖が沸き上がる。







いや、だめだ。















『生きていたいよ。』














本当に自分なのだろうか。





そう思うほど不思議と、生欲は正直だった。






結局アルはナイフを手から離した。






それを、ルナは医者から聞いた。






安心した。






アルが、死に対して恐怖心を持ったことに。






アルに、死ぬ勇気がないことに。






多分、アルは自ら死ねないはず。






そのことにほんとに安心した。






アルはしばらく黙る。






そしてそっと呟いた。






アル
アル
でも、生きる勇気だってない






アル
アル
ただ、運命に身を委ねてるだけ。






アル
アル
私は、自らの手では死なない。






アル
アル
どうせ死ぬんだから。






アルは、冷たかった。






いつもと変わらない素っ気ない返しだった。







ルナの言葉じゃ、アルは変わらなかった。






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