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第1話

52
2024/11/08 15:29 更新
病室は、煙草独特の煙臭さがした。





またか。






ここでは煙草は禁止のはずなのに。





けれど彼女・・は決まってこう言う。










『大丈夫。どうせもうすぐ死ぬんだから。』









          °𖤐⸜ 𝐆𝐞𝐡𝐞𝐧𝐧𝐚 ⸝𖤐°


ルナ
ルナ
ねえ、調子はどう?






ベッドに座る、不健康そうな彼女に向かってルナは言う。





アル
アル
あぁ…






彼女の名前はアルという。






掠れた声で、しっかりとルナの声に反応した。





そのまま気力のない声でアルは言った。





アル
アル
もうね、やめたの。そういうの。






アルは、一度もルナの方を見なかった。





アル
アル
全部、諦めることにしたの。





アル
アル
私はもう、何も望まない。





アル
アル
何も考えない。何も感じない。





アル
アル
だからもう、私に干渉してこないで






淡々とした口調でアルは言う。






でも、ルナももう慣れていた。






いつだってアルはこんな感じ。






アルはこんな人なのだ。






全てを諦めていて、






何も望まず、






生きる希望なんて持っていない。





ルナ
ルナ
…やだね。





ルナ
ルナ
私は、アルのことが大切だから





ルナ
ルナ
関わっていたいよ。





アルは少し黙り込む。





そして口を開いた。





アル
アル
ルナも、分かっているんでしょ?





アル
アル
そうだよ、私のせい。





アル
アル
全部全部、私のせい。





アル
アル
私は、私のせいで今こうなってる。





アル
アル
自業自得だよ。





アルは少し前に倒れた。





後が残るほど深いリストカット






過度なオーバードーズ






ストレス






たばこ






過度な飲酒






原因はいろいろある。






いろいろな悪環境が影響し、今こうなってしまってるんだろう。






言ってしまえば、自業自得なのかもしれない。






そしてあの体にはもう、回復の見込みはない。






医者に言われた。






後は死ぬだけ。






ただの生き地獄だ、とアルは思う。






自分は生きてしまってるだけ。






死にたいのに。





生きたくなんてないのに。





ただ、死ねてないだけ。





死ぬ勇気がないだけ。






だからアルは、この地獄ジェヘナの中で今日も生きてしまってる。










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