🌸side
俺は、全速力で走って、家に帰った。
玄関を開けて、靴を脱いで、リュックを放り投げる。
階段を駆け上がって、すち兄さんの部屋の扉を思いっきり開けた。
俺が部屋に入ると、ベッドの上ですち兄さんが 上半身を起こした状態で、目を見開いて俺を見た。
でも、すぐに、いつもの優しい笑顔を浮かべる。
俺も、すち兄さんも.....、黙り込む。
気まづい....。
朝、家を出ていくとき.....、すち兄さんに、全部....、気持ちをぶつけちゃったから。
どんな、顔したらいいか...、わからない。
俺が気まづくて、扉の前で立ち止まって 下を向いていると....。
すち兄さんの声が聞こえて、俺は顔を上げる。
すち兄さんは、悲しそうな顔で 俺のことを見つめている。
すち兄さんは、そう言ってベッドから立ち上がる。
俺は、思わず 後ずさりするが、すち兄さんは構わずに近づいてくる。
俺が、言いかけると....、
ギュッ
すち兄さんが、俺を抱きしめた。
今までだったら....、この腕を振り払ってたのに...。
ずるい....ずるいなぁ。
.........、あったかい。
突然の抱擁のせいなのか.....それとも、安心したせいなのか......俺の瞳から 涙が溢れた。
昔のことを思い出す。
俺はまだ、5歳だった。
家族全員で、遊園地に遊びに行っていたら、俺がみんなとはぐれちゃって....。
園内放送もされたけど、迷子センターの場所がわからないくて、泣いていたとき....。
たくさんの人の間から、すち兄さんが現れた。
すち兄さんは、走ってきたのか....、息が荒くて、額には汗が浮かんでいた。
泣いている俺を...、すち兄さんが抱きしめてくれた。
温かくて...、安心する。
俺は、すち兄さんの背中に腕を回して、服を握りしめる。
涙で、すち兄さんの肩が濡れていく。
すち兄さんの...、温かい手が 俺の頭を撫でる。
ほんとに..?
俺のこと....、嫌いになったわけじゃないの、?
ねぇ.....、まだ、期待してもいいの...、?
俺の瞳から、もっと涙が溢れてくる。
俺も.....、俺だって.....、ずっと....。
俺がそう言いかけると....。
兄さんたち と こさめの声が聞こえたかと思うと....、
バターン!!
他のみんなが、部屋になだれ込んできた。













編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!