朝の空は少しだけ霞んでいて、教室の窓に柔らかい光が差し込んでいた
今日の年少さんは、ほしぞら園ではじめての「おうたの練習」をする日
太陽組とウサギ組の子どもたちは、元気いっぱいに登園してくるが、どこかちょっぴりそわそわしている
玄関で靴を脱ぐと、先生たちが声をかけてくれる
教室に入ると、ピアノの前に座るのはネコ組の伊野尾慧先生
ゆったりした表情で鍵盤に指を置き、そっとメロディを奏で始める
その後ろでは、太陽組の有岡大貴先生とウサギ組の中島裕翔先生が立ち上がり、元気なお手本の歌を披露する
ふたりの先生が歌い出すと、子どもたちは驚きながらもじっと耳を傾ける。けれど、実際に「自分が歌う」となると、なかなか声が出ない子もいる。モジモジしていたり、下を向いたり、先生の後ろに隠れようとする子もいる
そんな空気を察して、見守りに入っていた先生たちがそっと子どもたちに寄り添う
(と言って、わざと音程を外して「なないろ〜!」と叫ぶと、子どもたちからクスクス笑いが)
高木先生は、泣きそうな子の隣に座りながらポンポンと背中をやさしくたたいて励ます
薮先生は、一人で座っていた男の子の前にしゃがんで
少しずつ、子どもたちは声を出しはじめる。「な、なな…」「にじー…」と、途切れ途切れでも、一歩ずつ前進している
有岡先生が、手を広げて全体に向かって言う
中島先生が、ピアノのそばで小さく拍手をする
伊野尾先生が、最後のメロディを軽やかに弾きながら微笑む
教室の空気は、少しだけあたたかく、明るくなったように感じられた。窓の外を見ると、本物の虹ではないけれど、雲の隙間から陽がさしていて、白く輝いて見える























編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。