組の門の前に立ったとき――その瞬間だった。
門の前。
ずらり、と黒服の組員が並んでいた。
いつもの静かな玄関ではない。
四季の知らない大人たちが、一列に立ち、まるで何かを待ち構えているようだった。
四季たちが門の前に着くと、
四季の身体がぴたりと止まり、指先がふるりと震える。
四季は恐怖で組員の言葉を全く聞いてない。
声が小さくなる。
するとすぐに花魁坂が組員たちに注意をする。
そして真澄がすぐにしゃがんで目線を合わせた。
四季の表情がみるみる強ばる。
“知らない大人=怖い”という記憶が身体に染みついている。
その瞬間、四季の手がぎゅっと真澄の服をつかんだ。
その仕草だけで、四人は全員、胸を撃ち抜かれたように優しい顔になる。
無陀野が四季の頭をぽんぽん撫でる。
花魁坂が微笑む。
皇后崎が短く、しかし強い声で言った。
皇后崎が即答すると、四季は安心したように小さく息を吸った。
真澄が頭を撫でると、四季は恥ずかしそうに目を伏せた。
四人に囲まれながら、四季は組の中へ。
大人たちは道をあけ、まるで“特別な客人”に向けられるような視線で四季を見つめる。
四季は思わず皇后崎の袖をぎゅっとつかむ。
皇后崎が静かに腕をまわすように庇い、周りの男たちを睨みつける。
すると組員たちは四季から目線をそらすようにいっせいに違う方向を向く。
廊下の突き当たり。
一番奥の重厚な扉の前で足が止まる。
ドクン…ドクン…
四季の心臓の音が聞こえそうなほど大きく響いていた。
真澄がそっと四季の肩に手を置いた。
その一言で、小さな身体はやっと扉へ向いた。
皇后崎が軽くノックし、中から低く柔らかな声が返る。
扉が開いた瞬間、四季は息を呑んだ。
――部屋は思っていたよりも明るくて、怖さなんて一つもなかった。
奥に座っていたのは壮年の男。
厳つい雰囲気はあるけれど、眼差しは穏やかで、四季を見るとふっと笑った。
その声は驚くほど優しかった。
組長は手を広げるようにして続けた。
うしろの四人が少し照れたように立っているのを見て、四季の不安が少しずつ溶けていく。
組長の一言で、四季の胸の奥がじんわりあたたかくなる。
四季はうしろを振り返る。
皇后崎たち四人が、頷きながら優しい表情で立っていた。
(……こわく、ない……)
四季は、きゅっと拳を握り、ゆっくり組長を見た。
組長は嬉しそうに細い目をさらに細めた。
その瞬間、後ろの四人の表情が一気にゆるみ、胸を打たれるようにあたたかくなる。
新しい家族の鎖が繋がった。
四季の人生が、静かに、しかし確実に変わり始めた瞬間だった。












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。