第44話

青い君と赤い僕
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2020/11/10 10:31
青い君と赤い僕


化け物の僕は君に恋をした‪𓂃 𓈒𓏸◌‬





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ずっとずっと昔の話



忘れられないよ



あなたのこと



いつか



また




であえるかな?










Mafu




「うるさいっ、、、」


化け物だ。


僕は化け物なんだ。


人間と分かり合うことなんてできないはずなのに。










僕はずっと1人だ。気づいた時には僕の両親はいなかった。もしかしたら、人間に殺されたのかもしれない。

髪が白くて目が赤い。

たったそれだけ。化け物あつかい。まぁ、ほんとうに化け物なんだろうけどね。人間を殺してしまうんだから。

怖くなるとね、手が化け物みたいになるの。
それで人間を傷つけるとすぐ死んじゃうの。僕の血は人間には毒だから、、、


「んふふ、」


そんな僕にも楽しみがある。街を眺めること。眺めるだけでも僕はいい。
僕の家はどこかの国のとても古い館。最近は、みんな怖くて近寄ってこない。殺すことがなくていいけど。


「綺麗なお花だなぁ、」


赤い花ばかりのこの館。赤は血の色だからあまり好きじゃない。だからぼくは1度でもいいから綺麗なお花を近くで見てみたいな。綺麗な綺麗な青いお花。





Sora



「お母さん、お父さん。あの館はなんなんですか?」



『怖い魔物が住んでいるの。』


『沢山の人が殺されたんだ。』



「そうなんですか、、、」


俺は少しお金持ちの家庭に生まれた。
だから特に不自由なく生きている。
そして、、、
物心が着いた時から気がついた時からあの館には近付くなと言われてきた。魔物がいるらしい。

でもそれはただのデタラメかもしれない。
みんな恐れてるけど、殺したってことは嘘かもしれないじゃないか。



「よしっ、、、」



俺は夜に館に行ってみることにした。




「きれい、、」

夜中の館は綺麗だった。あかい薔薇が沢山咲いていて月明かりに照らされている。

ギィ

古びた扉を開けた。
特に何も無いしここに人は住んでいないのかもしれない。

帰ろうとしたそのとき


「おい、なにしにきた」


「えっ?」


そこにはとても綺麗な青年がいた。赤い目が綺麗だ。


「あの、ここの主様ですか?」

「うぐっ、、!!?!」


ぐっと首を掴まれた。息がしにくい。苦しい。


「なにをしにきたか聞いてるんだよ」

「こたえろ。」


その声はどこか悲しそうな感じがした。


「ころしにきたのか?」

「この、化け物の僕を」


「ちがっ、、おれっ、た、だ。あなたのこっ、きになって、!!!」



「殺しに来たんじゃない、?」

「っ、、、!!!」


綺麗な青年は手を離した。其の瞬間、頭を打ちそうな気がしていたが青年は俺を抱きとめてくれていた。



「ごめんなさいっ、!てっきり、殺しにくる奴らだと、、」

「怪我してないですか??大丈夫ですか?」


びっくりした。さっきの人とは大違い。
暗くて顔は見えないけど。


「げほっ、、大丈夫です。」

「突然すみませんでした、、、」



「いえ、、僕の判断ミスです。ごめんなさい。苦しくしてしまって、、、」



なんだろう。この声。優しい。

なんかつかれたな、、




「えっ!?大丈夫ですか、、?!」



ごめんなさい。




俺は意識を手放した。




Mafu


誰かが来たようだ。
また殺しに来たのか。まぁいいや。また殺してしまえばいいだけだ。また赤く染ってしまうじゃないか。


「ちがっ、、おれっ、た、だ。あなたのこっ、きになって、!!!」


綺麗な声をしている掴んだ人間はそんなことを言っていた。

手を離した。

やってしまった。

殺しに来てないのに。

ごめんなさい。

ごめんなさい。


「あの、?大丈夫ですか?起きてください」


暗くて顔は見えない少年はその場で眠りについてしまった。

とりあえず僕の部屋に連れていく。ベッドがそこにしかないから少年をそこで寝かせた。


「なんで、、こんなところへ」

「ぼくのこと、気にしてくれるんだね」


すこし、だけ。少しだけ心がきゅっとした。
僕も寝てしまおうかな。ベッドの隣で僕は眠りについた。




Sora

ちゅんちゅん。

鳥の鳴き声。

あ、昨日寝ちゃったんだ。


「ふぁ、、えっ!?」


ベッドの隣にはとても綺麗なあの青年がいた。赤い目が綺麗で白い髪が1本1本輝いている。

これのどこが化け物なんだ??


「ん、、、おはようございます。」

「あれ、もう起きてましたか...少年さんは寝るのも起きるのも早いですね」


にこっと笑う青年はとても可愛かった。


「おれ、そらるです。そらるって言います!」


「そらるさん?いいお名前ですね」

「あなたの瞳にぴったり。綺麗な青色だ。」


「そんな、、、ありがとうございます、、」


「僕はまふまふ。もう呼び捨てで大丈夫ですよ。僕はこのままいかせてもらいますけど」


「まふ、?かわいい」


「そんなこと言ったても何もあげませんよ?w」


昨日とは全く違う。
優しい雰囲気を持っている。


「まふまふ、また来るよ。」


「、、、楽しみにしてますね。」

「そらるさん」




不思議なやつ。

みんなに伝えよう。

まふまふは変なやつじゃないって。

化け物じゃないって。





Mafu


明るいところで見た少年の顔。


それはもう僕の求めていたものだった。綺麗なお花。青い花。
こんな僕が触れてしまえば簡単に枯れてしまうような。

手離したくない。

そう思った。


でもぼくはでも僕は、、、



また来るよ


そういうそらるさんはとても楽しそうで。
こんな僕と一緒にいるのに。


「そらるさんか、、、」

「綺麗な響き」










「まふまふっ!きたよ!」


「いらっしゃい。そらるさん。」


本を読んでいるとそらるさんがやってきた。たくさんお菓子を持ってきてくれたらしい。


「そらるさん、この前は大丈夫でしたか?街に戻った時、皆さんに変なことされてませんか??」


「うん、大丈夫だよ。みんなにはまふまふと会ったこと内緒にすることにしたの。こんな綺麗なまふまふみたら、みんなまふまふとっちゃうじゃん。」

「もう少しだけまふまふの事知るまでは俺だけのまふまふがいいなぁって」


そらるさん恥ずかしい事さらさらと言うなぁ。


「僕のこと好きなんですか?w」


「かぁっ////ばかっ!!そーゆうことじゃない!!!」


「嬉しかったですよ?こんな僕と一緒にいてくれるので」


「、、、俺もまふまふといるの楽しいから嬉しい。」


「ふふっ、素直でよろしいです!」


日が暮れるまで話し続けた。
そらるさんといるのは本当に楽しい。




「まふまふ、つぎは一週間後に来るよ。勉強とか厳しいから中々これない、、、」


「大丈夫ですよ。いつでも来てくださいね?」








久しぶりに夢を見た。



幸せだったのに不幸になる夢。



そらるさんを奪われる夢。



「まふまふ」



その声は憎しみで溢れていた。





「そらるさんがそんなことあるわけないのにね。へんなの、、、」

「げほっ、、」

最近、体調が悪い。咳が止まらない。
もうそろそろ死んじゃうのかな?なんて。
そらるさんが現れてくれたんだからもう少し頑張らないとな。










雨が降っていた。


その日はそらるさんが来ると言っていた日。
こんなにも降っていたら来ることは難しいだろう。また次の日かな。


「まふまふ、!」


「っ!!そらるさん、きたの?」


「くるよ!」


雨でべちょべちょなのに来てくれた。

「とりあえず、体拭きますよ。さぁ、こっちに来て。お風呂沸かすから。」


「えっ!いいよ、、、」


「だめです。入ってください。」


「はぁーい」


「そらるさん今日はちゃんとご両親に言ってきましたか?」


「うん、、きょうは泊まれる」


「それなら、尚更ですね。ご飯も作るからお風呂入って待っててください。」


「ありがとう、まふ」



そらるさんにはこんなに優しくしちゃうんだ。


どこからか声が聞こえた気がする。
たしかにね、そうだよね。
こんなぼくが人間に優しくするなんて。


「??まふまふ、大丈夫?」


「大丈夫ですよ。ほら、行ってきて」


「わかった〜」




Sora


「ふぁー」


まふまふは化け物じゃないと思う。こんなにも優しくしてくれるのに。
そらるさんって優しく読んでくれるよ。


「そらるさぁーん!ごはんできたからいつでもあがってきてねー!!!」

ほら今もたのしそうにするじゃん。

「うん!わかった〜!!!」

幸せだな。




「!おいしそ、、」


「いっぱい食べてくださいね?」



うん、料理だってうまい。

なんで街におりてこないんだろう。


「まふまふはさ、街に来たいと思わないの?」


「僕は化け物なので、まちに降りたら殺されちゃいますよ。」

「安心してください。そらるさんがいるだけで僕は幸せなので。この時間だけは、普通の人間のようになれるから、、、」


まふまふは幸せそうな悲しそうな顔をしていた。いつか2人で出かければいいなぁ。

「いつか二人で行こう。」


「ふふっ、できるようになったらですよ」












「まふまふありがとう」


「またね、そらるさん」


「うん、」



いつか2人でな。



Mafu

街に降りるね。だいぶ難しい。

「やっぱり僕は化物だから」

これが僕をしばりつける。

そらるさんとの間に壁を作る。

「ここから出ようかな。いっその事」

そらるさんのことも忘れて何もかも変えてしまおうか。でもそらるさんは、、、


ばんっ!!!


「え?」



幸せはかんたんにくずれる。


久しぶりだ、僕の討伐隊、。


殺したくないな


でも殺されたい。疲れた。


まふまふ

でも脳内に流れるのはそらるさんの声。


「帰って貰えますか?」


まぁ帰らないのはしってたけどね。






1人の首を掴んだ時

あぁ、なんでいまくるの?

帰ったんじゃないの?


「まふまふっ!!!!」


「そらるさん?なんで、、、」


「まふまふ殺すとか街で言うから帰ってきたの。」


「そらるさんかえって、」


「いやだ」

そらるさんごめんなさい

僕を許してね


「っ、、、そらる帰れよっ!!!」

「もういいから、俺のことなんてどーでもいいよ。そらるの来る場所じゃなかったんだ!!!わかったか!?もう俺たちは人間と化物の関係なんだよ。食い殺すぞっ!!」


「、、、」

ぺた

そらるさんは床に座り込んで涙を流した。

「そらる」

「さようなら」


「だれもころさないで、まふ」


「っ、、、、!!!?!」


ぐさと胸に何かが突き刺さる。

あぁついに死ねるんだ。


「っ!まふまふ!!!!」



「そらるさんありがとう」








「まふっ、!まふまふ!」

「やだやだやだやだやだやだっ」

「しなないで!!」


「ごめんなさい、酷いこと言って。そうでもしないとあなたは僕から離れないでしょう?」


「もういいから、大丈夫だから血を止めてよ、、おれ、まふまふともっと一緒にいたいよ。」


泣かないでそらるさん。

少ししか動かない手を動かしてそらるさんの頬へ。これは最後に言うことなんだろう。もう疲れてきて中々話せない。

「そらるさん」


「うん」


「そらるさんの瞳とても綺麗。僕が求めていたものです。綺麗な青い花。そらるさん自身がそのように見えた。最後まで一緒にいてくれてありがとう。神様、彼を幸せな方へ導いてあげてください。世界で一番幸せにしてあげてください。そらるさんだいすきですよ」


あぁ、全部言えた。





Sora


「まふまふ?ね、まふってば。」


「まふ、ねぇ」


「、、、、」


まふまふはもうこの世界に居ないんだ。そう感じた。
とりあえずまふまふの寝室へ連れていこう。そこで寝させて、布団をかけて、お花を沢山用意して。

まふまふとお別れにしよう。


「まふまふありがとう。また会おうね。」

「俺は自分の家で待ってるよ。いつか、いつかね、、、生まれ変わったらまた会おう。」

「さようなら。俺もすきだよ。」



















あの日から一体何年経ったんだろうか。
街では化け物の討伐に成功したと一時期は大騒ぎだった。もちろん、俺の両親や友人は喜んで、、、

丘の上のまふまふの家は、まふまふが居なくなってから数年だったあとすごく綺麗な家に生まれ変わった。とても白くて赤い薔薇と青い薔薇が咲いてて綺麗だ。
まふまふなら「僕とそらるさんの瞳の色と同じですね」なんて笑って言ってくれたんだろうか。


「まふ、、、」


そう呼んでもまふまふは来てくれない。
泣いても笑っても何をしてもだ。
まふまふに会いたいな、なんて。


この数年で俺もだいぶ大人になった。もうすぐでこの家の当主になる。そして、結婚もしなければ。好きな人はもうこの世界にはいない。だから結婚なんてしたくない。でも家のためだ。しょうがない気もする。


「もう、逃げよっかなぁ。お金も沢山あるから違う国へ。」

「もういいや、ねよう」


世界は何も変わってないな。










???



胸の当たりが痛い。
あ、そうだ刺されたんだった。


周りにはたくさんの花。
そらるさんかな?ありがとう。


はぁ、僕は死んだんだ。そらるさんごめんね。僕も一緒にいたかったなぁ。


ん?


え、


ちょ



あ、僕死ねないんだ。忘れてたよ。
でも、そらるさんにはもう会えないなぁ。
こんな姿だし、街降りたら殺されるだけだし。


もう、不老不死なんていいから、、、普通の人間にそらるさんと同じ人間にしてください。


「お願いします、神様、、、、」













Sora



やだな、やだな。

結婚しなくない。

はぁ、、、



『そらる様、怪しいものが玄関に!そらる様を呼んでおります。』


えええええ?


「は?おれ??」










「だから!通してください!!」

「お願いします!!!」


『だめだ!そんな怪しいのに、、、』


玄関にいた男?らしい人は黒いフードを被っていて顔が見えなかった。でも、声が、、、声が、、、


「まふ、ま、、ふ??」

「みんな、通してあげて」


『はい、わかりました』


「とりあえず、来て貰えますか?俺の部屋。」


「!そらるさ、、、そらる様ありがとうございます。」






まふまふだったらいいのに、なんてね






「さて、フードを脱いでください。」



「その前にいいですか?」



「??どーぞ」



「そらるさん。俺は丘の上の白い家に住んでいるものです。数年前、化け物が住んでいた家に住んでいるものです。やっと、やっと、あなたに会えました。嬉しいです。この俺ははじめましてですよね?」


ばさりとフードをとった


そこには



「見た目変わっちゃいましたけど、、、」

「あなたを迎えに来ました。そらるさん。」



髪色が白から黒に変わったこと以外何も変わってない。赤い綺麗な目はそのまま。


「まふまふっ!!!」

まふまふに思いっきり抱きついた。

「うわっ!ふふっ、そらるさんも何も変わってない。うれしいな」

「大変だったんですよ?不老不死なんて要らないって言ったら本当に人間にしてもらったし、街に降りるの髪色のせいで怖いから黒く染めてさ。僕の家も綺麗にしたの!薔薇綺麗でしょう?そらるさんと僕の色。だから、時間かかっちゃいました、、、!?そらるさん!どうしたの?」


「いや、うれしくって、、、」


「そらるさん、ここから出てあの家で暮らそう?ずっとずっと二人でいられるからさ」


「うん、一緒にいる。」


「ありがとう。そらるさん」


幸せすぎる。

ありがとう

まふまふ



「ちょっとだけ、ね?」

そう言ってまふまふは、俺にそっとキスをした。















「そらるさん、結婚してください」


なんて言われるのはまた数年後の話。

その時も青と赤の薔薇は綺麗に咲いていた。








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