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第34話

Last Episode
325
2024/06/18 03:00
北斗side

1人の子どもの幽霊から始まったこの事件。まさかメンバー全員を巻き込む事になるなんて夢にも思ってなかった。
いっぱい責めて、後悔して、、俺はSixTONESにいる理由なんてない、、5人と一緒にいる価値も生きてる価値もないって考えたこともあった。生死をさ迷って怖い思いもたくさんしてるのに…北斗のせいじゃない、責めないで、やめるなんて言わないでって言葉に救われた。
俺はSixTONESにいて良いんだ、生きてて良いんだ……。

だんだん笑顔が増えていくメンバーを見るのは嬉しかった。でも反対に、表情も曇って話さなくなっていく京本。ずっと気になってた。急に感じるようになった京本には慣れるまで時間がかかると思う。ひとまとめに感じると言ってもいろんな感じ方がある。俺が思うに京本は見える一歩手間の感じるだと思う。
そんな京本からの“北斗がいると安心する”って言葉、めっちゃ嬉しかったんだよね。俺はいていいんだってその時改めて思わせてもらった。

そして迎えた退院の日。
朝からメンバー全員揃って病室に来た。

樹「手続きとかいる?」

北「あ、済ませてあるから大丈夫」

樹「そう?」

北「うん。先生から説明聞いて、そのまま」

ジ「先生来る?」

北「来るよ。待ってれば」

数十分後

コンコン ガラガラ

先「すみません…遅くなりました……」

北「いえいえ」

スト(一礼

先「いよいよですね。じゃあ確認も含めて今後のことを……」

義手は必要な時だけ付ける。ずっとつけてると炎症起こしちゃう可能性があるから。幻肢痛は、痛いと思ったらすぐにメンバーに言って薬を飲ませてもらうこと。痛みが引いてもすぐに義手を付けないで安静にしてること。
発熱や風邪は長引いたり悪化したりする可能性があるから必ず病院に来ること。これは京本も一緒。

先「その他なにか分からないことありましたら遠慮なく相談してください。私も応援してますよ」

北「ありがとうございます」

ジ「先生は1番のファンですね!!hahaha」

樹「やめろよお前」

先「いえいえ笑
  長い間本当にお疲れ様でした。よく頑張りました」

北「…こちらこそお世話になりました。
  未知の病気に真摯に向き合ってくださって……」

スト「お世話になりました……」

先「とんでもないです。では行きましょうか」

お世話になった先生や看護師さんたちにお礼をして車に乗り込む。

スト「ありがとうございましたーー!!!!!!」

約半年、治療に当たってくれた先生や看護師には感謝してもしきれないね。どこかで恩返し出来たらいいな。

その後俺は自宅に戻って部屋を整理して噂のシェアハウスへ。
ジェシーが言ってた通りめちゃくちゃでかくてびっくりした……。もう生活できるよつに家具とかも置いてあって…どこの豪邸かと思ったよ。

樹「1階はリビングで6人の共同スペース。2階に個人部屋。3階はまだ何もない。これから話し合って何か作れればなって思ってる。部屋決めする?」

慎「いきなり?」

ジ「まず北斗退院おめでとうだろ!!」

このジェシーの一言を皮切りにおめでとう攻撃が炸裂。

北「…………もう分かった!良いから!ありがとう!!
  俺も5人のこと好きだよ!ね?部屋決めよ?」

樹「お、今どさくさに紛れて告ったな?」

ジ「Dahahahaha!!!!」

北「告ってはない」

樹「またまた〜」

髙「はい、最初はグー!ジャンケン……」

あいこを繰り返して勝った人から部屋を決めていく。

樹「ルールとか決める?」

慎「決めるの?」

ジ「北斗と大我を1人にしない」

樹「それはそうだな」

ジ「我慢しない。……みんなもね?」

髙「お前もだよ」

ジ「分かってるよ!」

髙「細かいことは生活していく中で決めよう。ちゃんと自分の意見言ってね。直接言えないならメールとかでもいいから」

樹「活動再開日は要相談で。発表は近々するって」

退院した日はシェアハウスでのんびり過ごした。病院じゃない場所で過ごしたのは久しぶりで、ちょっと泣きそうだった。

事務所と話し合って、俺の退院から4日後にファンや世間への発表、活動再開は事件からちょうど1年の日にする事にした。

ジ「発表してから再開日まで3ヶ月もないね」

慎「体力戻るかな?笑」

ジ「大丈夫!大丈夫!最初から激しいことはしないって」

樹「再開の日何かする?どうしたらいい?」

髙「特別なことやろうとしなくていいよ。無理すんな」

樹「そう?」

髙「うん。ブログとかで感謝伝えれば。取材や与えられた仕事をやろう」

日が迫るにつれて不安の方が大きくなってくる。
1年という時間は簡単には取り戻せないのかもしれない。

そして、発表の日、、、ジャニーズ事務所の公式から弊社所属SixTONESについてのお知らせを初めに、FC、朝のニュースなどで大々的に取り上げられた。

俺が死視病であること、腕を切断して義手を付けていること、オッドアイであること、慎太郎も幽霊が見えること、でも病気ではないこと、京本の背中に大きな傷痕があることも同時に発表した。素直に喜んでくれる人もいれば戸惑ってる人も、感情がごちゃごちゃな人もいて、反応は様々だった。

前いたマネージャーは現在も行方不明で、別のマネージャーが付いてくれることになったけど、それもちょっと不安で。でもちゃんと動いてくれて力になってくれた。

樹「取材とかめちゃくちゃくる気がするんだけど…大丈夫か…?」

北「大丈夫だよ。正直に全部話すから。お前らも全部話してもらって大丈夫」

ジ「見える景色、感じること、話しちゃった方が楽になるかもよ?」

髙「共感してくれる人は少なからずいるはずだから」

樹「きょも……気持ち悪い?」

京「……ッ…うん………」

樹「寝てな。吐く?」

京(フリフリ

樹「部屋行こ。熱は?」

慎「体温計持ってくる!」

樹「ありがと」

樹「微熱だ……病院行った方がいいかな?」

髙「電話する?」

慎「微熱ならしてみたら」

樹「そうする」

髙「俺してくるよ」

樹「あぁ、ごめん。ありがとう。
  きょも部屋行こう」

ジ「北斗は大丈夫?」

北「俺は大丈夫」

慎「ほんと?」

北「ほんと。少しは信じろ」

京本は前より身体が弱くなった。もしかしたら俺もなのかもしれない。体調崩した京本を見てると俺も体調悪くなりそうな気がする。

仕事も無理はさせられない。責任は全部俺にあるから俺がみんなを守っていかないといけないんだ。

…………そしてあの事件から1年が経ち……。

ジ「今日からだね」

慎「いよいよ!」

京「頑張ろう」

樹「俺たちなら出来る!いつも通りで良いんだよ!」

髙「無理せず楽しんで」

北「ありがとう。ここまで来れたのはお前らのおかげ。本当に感謝してる。これからも迷惑いっぱいかけちゃうと思うけど、よろしくな」

ジ「こちらこそだよ!!!」

樹「っしゃーー!!!!行くぞー!!!!」

俺たち6人はSixTONESとしての活動を再開した。
って言っても、まずはワイドショーに出たり、取材を受けたりすることがほぼメインだった。
俺は死視病の辛さや過酷さを伝えるのに必死だった。コンタクトを取ってオッドアイを見せたり、義手を付けずにテレビに出たりもした。

活動再開して約半年間はアイドルと言うよりかは“未知の体験をした人”としてテレビに出てた気がする。
その中で私も死視病かもしれない、似たような体験をしたことがある、壮絶な1年間だったねって言ってくれる人も少なくなかった。

あの事件からもうすぐ2年。
俺たちはアイドルとしての活動を本格的に再開させて、来月久しぶりにシングルを出す。実はもう次のシングルの準備までしてるなんて言ったらびっくりする?笑

問題の幻肢痛やシェアハウスでの生活はと言うと、

ジ「髙地ぃ〜!俺の部屋から黒のかばん取ってきてー!!」

髙「はぁ!?どれだよ!!?」

慎「ねぇきょもは?」

樹「きょも?3階じゃない?歌ってると思う」

慎「じゃあ俺も行こ〜」

3階は完全防音にして歌えるように、楽器が弾けるようにした。スタジオみたいなの自分の家に作っちゃったんだよね。
あそこにいると幽霊感じないらしくて、京本はよくそこにいる。

幻肢痛は本当にふとした時に、

北「…ッ……………………」

ジ「北斗!?幻肢痛だ!?ちょっと待って薬…薬……」

左の残ってる腕全体が痛い。痛くて動けなくなる。
気づいたメンバーがいつも薬を持ってきてくれる。

ジ「はいこれ!飲んで!!」

飲んで数分で痛みは落ち着く。

北「あり…がとう……」

ジ「ううん。良かった。ソファーにいなよ」

ジ「メンバーに連絡しとくね」

北「うん……」

切断部分に負担がかかるからって家ではあまり付けないようにしてる。けどそうすると幻肢痛が起こる確率が上がる。炎症起こして熱出してまた危篤になるよりはマシだから家では義手を付けてない。

死視病という病気が世に知れ渡って約1年。的確な治療法も原因もまだ分かってないけど、UMA等の未確認生物に詳しい科学者や研究者、医者などが治療薬や原因を探してくれている。

死視病とただ幽霊が見えるだけでは違う。死者と話が出来て触れられたらそれは死視病。病気なんだ。精神病んで自殺してしまった人が死視病だった可能性も出てきて、もっと早く知りたかったって言う人も中にはいる。

あんな目に遭って生死をさ迷ったけど死視病という病名を知れて対策が出来た俺は神様に助けられたのかもしれない。
もっと多くの人にこの病気を知ってもらって、辛さや難しさを分かってもらえるようにアイドルとは別の方向で頑張りたいと思ってる。

北「ねぇ……」

樹「どうした?」

ジ「なに!?」

北「俺…お前らと同じグループになれて幸せ……ジャニーズ入って良かった……見捨てないでくれてありがとう……」

樹「また言ってる!」

髙「何回も聞いたよ。大丈夫。ずーっと一緒」

ジ「おじいちゃんになってアイドルやめても一緒にいような!」

京「それマジ?」

慎「北斗がそうしたいならするしかないでしょ!
  ……いや、俺は賛成かも笑」

ジ「Ahahaha!!!! やったー!!!」

今でも幽霊と話して手助けをする事はやめてない。
成仏の依頼を受けた時はまずメンバーに相談。アドバイスをもらって樹かジェシーと一緒に動くようにしてる。

ジ「幽霊さん7人目のメンバーみたいじゃない?hahaha!!」

樹「何それww」

スト「wwwwwwww」

活動再開してから京本も話すことが増えて前みたいによく笑うようになった。
2年前と全く一緒にはならないかもしれないけど、俺たちはこれからも幽霊と7人8脚で共に人生を歩んで行く。

SixTONESは最強なんだ。だって俺の大っ好きな6人だから。


-fin-

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