♟ side ; ローレン
今となっちゃぁ、「イブ」なんて気軽に読んでいるが、最初はそんなことなかった。
「イブラヒム様」呼び。今そんな呼び方しちゃぁ、違和感と気持ち悪さでリバース、おぇー。
波乱万丈、三者三葉、心機一転、紫寝殿。
身分と位の差を感じない。
そんな俺らの話をしようと思う。
俺はエデンという荒れた国の警備隊員。
イブはコーヴァス帝国の石油王。
国の上位界同士でいざこざがあり、
少し危険な為、15の俺はエデンの上位界の人の護衛を、言えば最前線に居た。
〈コーヴァス帝国の方から、お前宛に護衛の要請があった。コーヴァスへ派遣という形になる。〉
〈来週までに任務や引き継ぎをまとめておくように。〉
「はい。」
コーヴァス帝国で行われた、パーティーにエデン上層階のうちの1家も参加していた。その時任務として護衛をしていたが、とあるコーヴァス帝国の一家から、護衛をしてくれないかと要請があったとの事。
〈コーヴァスのお貴族様の護衛だってなぁ!ローレン!〉
「あぁ、」
〈乗り気じゃなさそーじゃん!どしたよ!〉
「いや、そんなことねぇよ!」
「うめぇ飯食って、金で大富豪してくるわ!!」
本音を言うと、ただ怖かった。
実父、実母がいないとしても、まだ15歳。
ずっと体を売って、何とか生き繋いできたところ、警備隊に拾われ、そのまま警備隊の直列の孤児院で育ち、そのまま養成所へ。12の年に警備隊になって3年。
もう慣れてきた方ではあると思うが他国に行く度、周りは自分の知らない言葉。何を言っていているかも分からず、食べ物も、飲み物も、その地のもの全てが知らないもの。
ずっと暗くて、ネオンで広がるエデンとは全く違う、朝がちゃんと来て、夜は暗く静まる。そんな国も少なくはなかった。
俺は静かな所が怖かった。
寝れない。食べれない。
夜、静まる国に任務へ出かけた際は必ずと言っていいほど毎回帰宅後熱を出す。
そんなレベル。
ただ不安で、何が起こっているか分からない暗闇は無闇に動けず、どうすればいいか分からない。見えない聞こえないの状況がただ怖かった。
〈コーヴァス行きの転移機だ。〉
〈身分証明を。〉
〈ローレン・イロアス。A部隊の警備隊。〉
〈コーヴァスへ、護衛任務として5年で間違いないか。〉
「間違いない。」
〈コーヴァスから帰りの転移機は予約制だ。忘れぬよう。〉
〈通ってよし。コーヴァスに着いたらこれを見せるよう。通行証だ。〉
「嗚呼。」
転移機で転移して、通行証を見せ、街を観光する気もなく、目的も任務しかないので、その足でそのまま任務先の家へ。
「護衛としてエデンからお呼びいただいたローレン・イロアスと申します。」
〈嗚呼、御足労ありがとう。〉
〈私のわがままですまないね。〉
〈直ぐに息子を呼んでくるよ。少し待っていてくれ。〉
「いえ、お呼びいただきとても光栄です。」
『- - -、』
〈お前の新たな護衛だ。〉
『- - - ?』
〈他国から、わざわざ来て貰っているんだ。言語くらい合わせてやればどうだ。〉
『- - - - 、。』
『何歳?』
驚いた。とても流暢にエデンの共用語を使いこなす。他国では難しく、聞き取りにくいと1度聞いたことがある。発音の仕方も特殊だとか。それをまぁエデンで生きてきたかのようにスラスラと話す。そう思えば主様もとても流暢だ。そういう教育をしているのか、はたまた、俺以外にもエデンの者がいるのか。
そして、息子だと紹介された少年。いや青年。俺と同い年かそれより少し上か。
少し幼い顔だが凛々しく、褐色の肌によく生えるハイトーンの髪に、油絵で淡く書かれたひまわり畑のような目。
そんな目に吸い込まれてしまった。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!