神山side
ガチャ、
「ただいまぁ〜」
扉が開く音と同時に聞こえた、
少し鼻かがった声に反応して、
玄関へと足を運ぶ
顔を出すと、目を真っ赤に染めながらも、
笑顔で"卒業証書"を胸に抱えた彼女の姿が
『めっちゃ泣いたんやな、』
ぼそっとそう言うと
「やってさぁ....」
と、何かを言いたげにしながら、
一気に目に涙を溜めた○○
『まぁ、とりあえず中入り、』
そう言って部屋へと促すとゆっくりと入ってきた
『どうやった?』
そう聞くと
「めっちゃ泣いたぁ〜」
と、また涙声になった○○、
『ほれ、目ーパンパンになる前に冷やしとき』
と、取り出したガーゼを濡らして彼女に渡す
「もぉ〜、いややぁ」
思い出話を聞いている途中、
少しのスイッチでまたボロボロと零れる水の粒
『そんな泣かんとき、明日大変やで』
そう言っても止まることを知らない彼女の涙は
頬を伝い ポトン と彼女の手のひらに落ちる
『おいで、』
そう言って手を広げると
腕の中にスッポリと収まった○○
少しやけどさ、人生の先輩として
ちょっとだけ、
ちょっとだけな、話したいことがあんねん
やからちょっとだけ聞いてな、
✂︎- - - - - - - -キリトリ- - - - - - - - - - -
明日に続きます...
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!