雪花の一撃により訪れた久方ぶりの静寂。
その静けさは、戦場の端にいる
別チームにも微かに伝わった。
要:side
要は変化に気づき、顔を上げる。
その声に反応し、芦花もたちまち顔を上げた。
2人がいる場所は地面の裂け目、
周りには衝撃によって崩れた地面が辺りを覆い、
視界は悪くなるが身を隠すには最適の場であった。
芦花はキラキラとした笑顔を見せながら
自身の親指を大きく立てた。
要と芦花は地面の裂け目から飛び出し、
比較的平らな地面へ着地する。
ずっと暗かったからか外がとても眩しく感じるが、
そんな時、聴覚から得た情報が脳を覚ます。
──しかも、かなりレベルが高い……、
オーラ数値や姿は捉えれないが、
俺よりも強いのは目に見えてる……。
芦花ならまだ上手く戦えそうだが……。
2人の間に生まれた沈黙を芦花が破った。
芦花は消えかかるような声で呟いた。
──あれは爆発的な力を得る
芦花の強化形態の1つ。
確かに、不意打ちされては意味がない……、
使うのも悪くはないか……。
芦花の体が小さく震え、力を蓄えていく。
その強大な力を表すかのように光が辺りを包み、
熱と重みが近くにいた要にも伝わった。
言葉にした瞬間、
要の胸に小さな違和感が広がる。
理由もなく、ただ直感だけが
ざらついたこの感覚を訴えてくる。
要は芦花に優しく声をかける。
だがしかし・・・
光は次第に暴れ出し、
その反応に2人は凍りついた。
要の声は震える。
目の前の芦花も、
自分の体から溢れる力に目を見開く。
その瞳の奥に、
一瞬だけ淡い橙色の光が揺らいだように見えた。
要の脳裏に過去の断片が閃く。
かつて、
自分の体に宿ったあの憎たらしい感覚……。
思い出したくもない"植え付けられた"あの感覚。
背筋に走る冷たい戦慄。
それを感じれば感じる程、
理性の光は徐々に消えていった。
次の瞬間、世界そのものが軋むような
"暴走"の兆しが走ることとなる──。













編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。