千秋のテが、あなたの下の名前の細い肩を掴んだ
驚きに目を見開く彼女を、彼はそのまま、
壊れ物を扱うような、けれど決して逃さないほど確かな力で抱きしめた
耳元で囁かれる声は、低く、熱い
千秋の体温が、凍りついたあなたの下の名前の心へと流れ込んでいく
あなたの下の名前の視界が、急激に滲んだ
ずっと、誰にも踏み込ませなかった場所
「自分が不幸でいれば、誰も傷つかない」と信じて閉じ込めていた涙が、
千秋の『赤』に触れて、
熱い雫となって溢れ出す
千秋は震えるあなたの下の名前の背中を大きな手で何度も撫で続けた
この道が正解かんて、誰にもわかあない
けれど、腕の中で震えるこの命の鼓動だけが、
今の彼にとっての唯一の真実だった














編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。