あれから色々な情報を手に入れた。
父の…鬼になってしまった人のこと、鬼狩りのこと、最終選別のこと。
不法に投棄されていた刀や鬼に見立てた竹など、稽古の道具を諸々揃えた。
山を走り込み、刀を扱う練習、肺活量を鍛えるなど、かなり厳しい稽古を終え、夕飯の準備をする。
疲れていたからか、その日はすぐに眠ることができた。
そう小さく呟きながら町を歩く。
?「もっと速く、正確に!その調子です」
ジャキッ、シュバババッ
刀で何かを斬る音と指導の声が聞こえてくる。ふと気になって、音の聞こえる方へと向かった。
悪い事だと感じつつも、隙間から中の様子を伺う。
すると、女性二人が剣術の稽古をしていた。年齢は同じくらいだろうか。
つい見惚れてしまうくらい美しい、洗練された動き。あまりの美しさに、時間を忘れて見続けた。
?「お疲れ様でした、カナヲ。……ん?あそこにいるのは…」
急に罪悪感が押し寄せてくる。咄嗟にその場から立ち去り、早足でもう誰もいない家へ向かう。
その場にあった竹を手に取り、さっき見た技の一つ一つを真似してみる。
彼女ほどではないが、一応技を出すことはできた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。