子供「奏お姉ちゃん、次はあやとりしよー!」
子供「やったー!ちょっと待っててね!」
そう言うと、子供はバタバタと大きな足音を立て、別の部屋へ向かった。
町の人「ごめんなさいね奏ちゃん、いつもあの子に付き合ってもらって…」
町の人「そうかい?ふふ、奏ちゃんはいい子だねぇ」
?「あのね、奏。私達の周りにはね、鬼っていうとっても怖い人たちがいるの」
?「えぇ、そうよ。鬼は人間を食べちゃうの」
?「ふふ、大丈夫。鬼狩り様が鬼を倒してくれるのよ」
母「あら?どうして?」
母「まぁ、本当だわ。ありがとう、まふゆ」
母「ふふ、まふゆはいい子ねぇ」
母「まふゆ、鬼狩り様の事を教えてあげるわ」
母「鬼狩り様はね、悪い鬼をやっつけて、私達を守ってくれるの」
母「そう、鬼狩り様は凄いのよ。まふゆも将来鬼狩り様になったりして?ふふ」
母「まふゆはいい子だから、将来守ってくれそうだなって思っただけよ、気にしなくていいわ」
弟の声で目が覚める。最悪な目覚めだ。
弟が随分と焦っている。普段余裕ぶっこいてる癖に。
焦りの理由はすぐに分かった。
…そんな。
その言葉しか出てこなかった。
本当は分かっている。あの遺体は偽物ではないと。
泣き出した弟につられて、自分も泣いてしまいそうになる。
涙を堪えながら、弟に悪態をつく。
「お前何でそんな格好してんだよ!気持ち悪い!」
「こっち来ないで!」
他人から散々罵倒を浴びせられ、もう目には光が宿っていない。
?「瑞希」
?「瑞希は瑞希のままでいいんだよ」
唯一と言ってもいいかもしれない、自分に優しい言葉をかけてくれた姉。
姉の事を考えていると、自然と涙が溢れた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!