妹の叫び声で目が覚める。何事かと思い、すぐに駆けつけた。
そこには顔を青ざめて震える、大好きで大切な妹がいた。
何事かと思い部屋を覗くと、恐ろしい光景が広がっていた。
「何だてめぇら…って、片方は稀血じゃねぇか…
ケヒヒッ、この家は稀血が多くて嬉しいなぁ!!!」
鬼のような姿の何かが飛びかかってくる。
妹を連れ、一目散に逃げ出した。
長距離走ったからだろうか、病弱な妹は顔色が悪くなっていた。
すぐさま妹を背負い、町へと走り出した。
兄「何回言ったらわかるんだ!?そんな危険なこと…」
兄「えむ…!」
姉「……えむ」
姉「鬼狩り様はね、たくさん辛い思いをして、たくさん辛い稽古をして、命懸けで人々を守ってる。」
姉「一回よく考えてみて、えむにもそれができそうだったら…鬼狩り様の道に進みなさい」
兄「お前…!?」
姉「えむの人生だもの、えむがしたいように生きればいいの」
兄「な"……はぁ…」
兄「…えむ、鬼狩りになったときは絶対生きて帰ってこいよ」
「きゃああああああああっ!!!」
「寧々っ!!逃げ」
ザシュッ
「あ"?こんなとこにもいたのか…」
恐ろしい見た目で人間を食べる…鬼。
考えるより先に、体が動いていた。
恐怖と焦りで上手く呼吸ができない。
躓いてしまい、すぐに鬼に追いつかれた。
鬼に捕まり、喰われる直前。
ジャキッ
という音が鳴ると同時に、鬼の腕が切れた。
「うぎゃああああああああ!!!」
鬼から助かったかと思えば、次は鬼の体が崩れだした。
鬼は死んだ。もういない。だが、死にかけたときの恐怖がまだ体に染み付いている。
どうやら、さっき鬼の腕を斬ったのは類だったようだ。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。