第5話

始まり ワンダーランズ×ショウタイム
310
2023/09/16 05:18
咲希
キャアアアアアアア!!
妹の叫び声で目が覚める。何事かと思い、すぐに駆けつけた。
咲希っ!どうしたんだ!!
そこには顔を青ざめて震える、大好きで大切な妹がいた。
咲希
だめ、お兄ちゃん!!逃げなきゃっ!!!
何でだ…うわあああああああああっ!!?
何事かと思い部屋を覗くと、恐ろしい光景が広がっていた。
「何だてめぇら…って、片方は稀血じゃねぇか…
 ケヒヒッ、この家は稀血が多くて嬉しいなぁ!!!」
鬼のような姿の何かが飛びかかってくる。
妹を連れ、一目散に逃げ出した。
うあああああああああ!!!
っはぁ、咲希っ、大丈夫か…?
咲希
うん、お兄ちゃん、ゲホッ
さ、咲希!?咲希!!起きろ!!
長距離走ったからだろうか、病弱な妹は顔色が悪くなっていた。
ッ…俺が医者の元に連れて行ってやる!それまで耐えるんだ!!
すぐさま妹を背負い、町へと走り出した。
(絶対に助けるからな、咲希…!)
えむ
お兄ちゃん!お姉ちゃん!あたし!!鬼狩りになる!!
兄「何回言ったらわかるんだ!?そんな危険なこと…」
えむ
嫌だ!なる!!
兄「えむ…!」
えむ
あたしは皆を助けたいの、笑顔にしたいの!!
姉「……えむ」
えむ
……
姉「鬼狩り様はね、たくさん辛い思いをして、たくさん辛い稽古をして、命懸けで人々を守ってる。」
えむ
…うん
姉「一回よく考えてみて、えむにもそれができそうだったら…鬼狩り様の道に進みなさい」
えむ
…!!
兄「お前…!?」
姉「えむの人生だもの、えむがしたいように生きればいいの」
えむ
…ありがとう、お姉ちゃん!
兄「な"……はぁ…」
兄「…えむ、鬼狩りになったときは絶対生きて帰ってこいよ」
えむ
うん、お兄ちゃん!
えむ
(お兄ちゃんも、お姉ちゃんも、応援してくれた…)
えむ
よーっし、がんばるぞーー!!
「きゃああああああああっ!!!」
寧々
…ん、え?何…?
「寧々っ!!逃げ」
ザシュッ
寧々
……へ?
寧々
おっ、お母さん…?
「あ"?こんなとこにもいたのか…」
寧々
ひッ…
恐ろしい見た目で人間を食べる…鬼。
寧々
いッ、嫌…!!
考えるより先に、体が動いていた。
寧々
(逃げなきゃ、逃げなきゃっ逃げなきゃ…!!)
恐怖と焦りで上手く呼吸ができない。
寧々
はっ、はっ……あっ!
躓いてしまい、すぐに鬼に追いつかれた。
寧々
嫌っ、やめて、離して…!!!
鬼に捕まり、喰われる直前。


ジャキッ


という音が鳴ると同時に、鬼の腕が切れた。
寧々
え……?
「うぎゃああああああああ!!!」
鬼から助かったかと思えば、次は鬼の体が崩れだした。
寧々
あ、太陽……
鬼は死んだ。もういない。だが、死にかけたときの恐怖がまだ体に染み付いている。
……寧々、大丈夫かい
寧々
類…?
どうやら、さっき鬼の腕を斬ったのは類だったようだ。
寧々
どうして類がここに……しかも、血塗れだし…
あぁ…僕の家族が、あいつに殺されたんだ。
これは父さんの血だよ
寧々
…え
寧々もだろう?鬼に家族を殺されたのは
寧々
ッ……うん
僕は鬼狩りになるよ
寧々
え、鬼狩り?
ああ。これ以上、こんな思いをする人を増やしたくないしね
寧々
……類…
寧々
(類は鬼狩りを目指すんだ……)
寧々
(じゃあ、私は…?)
寧々
(鬼に家族を殺されましたで終わり、でいいの…?)
寧々
(私は……)

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