『で、その子をなんでクリスマスに誘わなかったん?』
『・・・なんていうか
断られたっていうか
俺が酷いことしてしもうて、嫌われた』
『そんなことでめげんなや』
背中をバンと勢いよく叩かれて
声が出るくらいにはビビった
『侑ならめげんでアタックすると思ったのに』
そんなこと
いつもなら出来るんやけどなぁ
あなたをほんまに好きやから
最悪の展開ばかりを想像して
そこまで出かかっとる一歩が踏み出せん
『まあ、本気で好きならそんなことできひんか〜』
そう言いながらそいつはベットに寝っ転がった
どうでもよさそうに
スマホをいじる姿が意外だった
『意外と俺の恋愛事情興味無いん?』
『そんなことはないよ』
『どうでもよさそうな反応するからそう思うわ』
俺がそう答えると
スマホを置いて俺を見た
『侑が本気で好きな相手は応援せなあかんやろ?』
『好きな子のこと言っとる時
侑、めっちゃ幸せそうな顔しとったよ』
『やっぱり好きな人には幸せになって欲しいわぁ』
そうクスッと笑って
またスマホを開く姿は
俺より何千倍も大人っぽかった
『・・・俺も好きな人には幸せになって欲しいわぁ』
叶うなら
俺が幸せにしてやりたい
もし無理でも
せめて、あなたは
俺よりずっと幸せになって欲しい━━━━━━
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。