『やっと気付いたね。』
窓の外に立つ少女は、あなたと全く同じ顔をしていた。
同じ髪。
同じ瞳。
同じ制服。
まるで鏡の中の自分が、そのまま外へ出てきたようだった。
「……誰?」
あなたは震える声で問いかける。
少女は微笑む。
『私はあなた。』
「そんなわけない……!」
『でも、本当だよ。』
少女の姿が月明かりに溶けるように揺らぐ。
次の瞬間。
ドンッ!
部屋の扉が勢いよく開いた。
「あなた!」
真希だった。
後ろにはパンダと棘もいる。
あなたが慌てて窓を見る。
しかし。
そこには誰もいなかった。
「え……?」
「どうした?」
真希が駆け寄る。
あなたは窓を指差した。
「今、そこに私がいたの……!」
三人は顔を見合わせる。
「あなた、落ち着け。」
パンダが珍しく真面目な声を出した。
「見間違いじゃないのか?」
「違う!」
あなたは首を振る。
「本当にいたの!」
棘も窓の外を見る。
「しゃけ……」
その表情は少しだけ険しかった。
まるで何かに気付いているようだった。
翌日。
四人は任務へ向かっていた。
場所は廃病院。
最近になって呪霊の目撃情報が増えているらしい。
「嫌な感じだな。」
真希が呪具を肩に担ぐ。
「ホラー映画みたい。」
あなたが苦笑する。
「俺、こういう場所嫌いなんだよな。」
パンダが肩をすくめた。
「パンダなのに?」
「パンダだからだ。」
「意味分かんないよ。」
少しだけ笑いが起きる。
けれど棘だけは黙っていた。
あなたを見つめながら。
何かを考えているようだった。
病院の奥へ進む。
すると。
あなたの頭に激しい痛みが走った。
「っ……!」
視界が揺れる。
頭の中に知らない景色が流れ込んできた。
暗い部屋。
誰かの泣き声。
血のように赤い月。
そして――
『全部忘れて。』
誰かの声。
『そうすれば守れるから。』
「いや……!」
あなたは頭を押さえてしゃがみ込む。
「あなた!」
真希が駆け寄る。
棘もすぐ隣に来た。
「おかか!」
「だ、大丈夫……」
そう言った瞬間。
病院の天井が崩れた。
轟音。
そして巨大な呪霊が姿を現す。
「特級か!?」
パンダが叫ぶ。
黒い腕が夢主へ伸びた。
避けられない。
そう思った瞬間。
ドォン!!
呪霊の腕が吹き飛んだ。
あなた自身の呪力によって。
青白い光が身体を包む。
その光は美しくも不気味だった。
「あなた……?」
真希が目を見開く。
あなたの腕には、見たことのない蒼い紋様が浮かんでいた。
それは以前よりも大きく。
確実に広がっていた。
そしてあなたの脳裏に再び声が響く。
『思い出して。』
『私たちは一人じゃない。』
『もうすぐ封印が解ける。』
あなたの瞳が揺れる。
そして遠く離れた場所で。
月夜に現れたあの少女が静かに笑っていた。
「もうすぐ会えるね。」
彼女の足元には無数の呪符が散らばっている。
そしてその中心には――
あなたの名前が書かれた古い記録が置かれていた。
あなた自身も知らない、過去の秘密を記した記録が。
3人はギャーギャーと何かを言っている。
作者は3人を隠すように立ち口を開く。
うるさい3人の声はそこで途切れてしまうのだった(笑)
















編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!